毎度のことながら、非常に密度の高いわくわくするステージだ。
前回の「コルテオ」はストーリーで見せる芸術性の高い作品だったが、この「クーザ」はスケールの大きなサーカス芸をたっぷりと見せてくれた。
「クーザ」とは「宝箱」の意味。無邪気な少年イノセントのもとに届いた大きな箱からトリックスターが跳びだして、イノセントを「クーザ」に導く。
それぞれのパフォーマンスを引き立てる構成で、ストーリー性は弱い。
イノセントやトリックスターをはじめとするクラウンたちは、案内役と場面つなぎと、さらには観客の代表として舞台上でパフォーマンスを見守る。その場面つなぎが半端ではなく、マジックを使ったパフォーマンスで観客を引きつける。客を舞台に上げてその客を舞台から消してしまったり、客席のイスが客が座ったまま3メートルも飛び上がったりと、それだけでも十分に楽しめる。
メインとなるサーカス芸は、大掛かりなものをたっぷりと見せてくれる。
超絶な身体能力の女性パフォーマーの身体の組み合わせだけで見せる「コートーション」から、天井から吊るした大掛かりな装置を使っての「ホイール・オブ・デス」まで、多彩なパフォーマンスが繰り広げられる。10ほどのパフォーマンスは、いろいろなパターンのサーカス芸が絶妙に選択されていてどれを見ても新鮮。それぞれがギリギリまで練り上げ鍛え上げられていて、人間技とは思えないパフォーマンスは、夢見ごこちにさせてくれて別世界へ連れて行ってくれる。
筥崎宮外苑に建てられた巨大な福岡ビッグトップ。そこに入るだけでもわくわく。中では一流のパフォーマンスにわくわく。舞台を真ん中にして270度のほどの角度で取り囲む客席では、楽しんでいるほかのお客さんも丸見え。その一体感もなかなか。ほんとにシルク・ドゥ・ソレイユは楽しい。
この舞台は福岡では2月9日から4月1日まで70ステージ強。少し空席があった。