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《2015.1月−4》

秀逸なコントが楽しい
【親族旅行記 (親族代表)】

作・演出:福原充則
10日(土)15:05〜16:45 西鉄ホール 3,500円


 “THE BEST LIVE”と銘打って過去の傑作コントを厳選しているだけあって、どのコントもとてもおもしろくて楽しめた。

 親族代表は 嶋村太一、竹井亮介、野間口徹 のコントユニットで、ほとんどのコントを3人で演じる。1999年に結成し、2006年からは複数の作家から脚本の提供を受けてコント作りをしている。この舞台の脚本提供者は、岩井秀人(ハイバイ)、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(ナイロン100℃)、小林賢太郎、故林広志、嶋村太一、福原充則(ピチチ5)、ブルー&スカイ という豪華さだ。
 それぞれの演目名とその作者はわからないので演目ごとの感想は書きにくい。観ている時だけおもしろくて印象に残らないのがいいところで、あとで思い出して感想を書くのがかなり億劫な舞台だ。
 舞台は中央に6mほどだけ空いていて後ろに街とも世界遺産とも見えるような平面の装置がある。装置は影絵的に使われることが多い。

 オープニングの靴下店の話は前説とメンバー紹介を兼ねたような短いコントで、そのあとセンスのいい映像でキャスト・スタッフの紹介がされる。リーダーの嶋村太一は長身・細身のイケメンでやや神経質そう。竹井亮介は小太りでややユーモラスでゆったりとした雰囲気。このごろテレビなどで売れてきた野間口徹はどっかすっとぼけたような感じでかなりシュールだ。
 エリート犯罪組織のコードネームの話は映画の話になっちゃって空中分解。テレビのクイズ番組の話もストンと落とす。野間口徹が言い出してユニット名を変えようと言う話はお涙頂戴のほうに持っていってしまう。コンビニでの謝る謝らないの話にはかなりイライラさせられるがそれを楽しむのが狙いのコントだ。
 誤報の“お詫び”がメインのテレビ番組の話は嶋村太一の一人芝居で笑わせる。リサイクルショップにギターを売りに行く男の話は、ストーリーがキチンとしていて全体的にはホロリとさせられる。いじめを助ける“三つ巴マン”はテンポで見せる。集団自殺の話は状況変化がちゃんとしていて短編の演劇になっている。

 脚本提供者はかなり楽しんでのびのびと書いている。作者が、岩井秀人、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、小林賢太郎かなというの作品の臭いは観ていて感じはするが確定はできない。多彩な作者による演目ごとの趣の違いが魅力だ。
 そんな脚本を、細部まで気を配った演出で実にていねいに演じているが、軽妙洒脱さはきちんと確保されている。3人のキャラの棲み分けとそこから来る絡みのおもしろさも十分に発揮されている。

 この舞台は福岡ではきょうとあすで2ステージ。少し空席があったが、観客の年齢層は広い。


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