上演時間45分のふたり芝居だが、幸田真洋らしい毒もなく構成も弱くてつまらないのに、わざわざ作品の「解説」までされたんじゃ、つまらなさに拍車をかけるばかりだ。
その「解説」とは、男女のやりとりの末に女が吐く「嫌いなのにはまってしまうというこの状況は、ハッカ味のドロップがなくなった気分」というセリフのこと。それでくくってしまったことで、この作品をさらに卑小にしてしまって、白けた。それを言っちゃーおしまいよ、というセリフが得々と吐かれるとは。
同棲しているカナコとユウスケ。だらしないユウスケはヒモに近い存在。
女宣言するユウスケ、それをまともに戻そうとするカナコ、ユウスケを子どもにしてふたりはやっと抱き合う。
そのあとも、楽しければいいというユウスケに間違っていると反論するカナコ。自分の幸せのイメージと違うと悩み、ユウスケにダメなものはダメで、白けた、終わりだと言いながら、大詰めで結論的に上記の「解説」になる。
カナコとユウスケの立場は5分ごとくらいに変遷するのだが、変遷のしかたががとろんとしていてそれぞれのシーンは際立たない。しかけの内容もなさ過ぎる。
対立するものをおくような構成上の工夫はなく、ふたりの背後が描かれず広がりもない。適切な小道具さえも使われないなど、表現上の工夫もない。そして、ふたりの思いを中途半端なところで切ってしまったから、結末は当然逃げになる。
そんな風だから、立ち見なのに居眠りしてしまって、足がカクンカクンしてしまった。
このところ幸田真洋は不調のようだ。次回本公演では幸田らしい毒のある構成力豊かな作品を期待したい。
この公演は番外公演で、きのうときょうで3ステージ。私の観た最後の回は約50人の観客で超満員だった。