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《2003.4月−11》

ひどすぎるあなピグモ捕獲団の俳優の演技
【ロング×アイランド×アイスティ/グラスホッパー (グレコローマンスタイル/あなピグモ捕獲団)】

作・演出:グレコローマンスタイル/作・演出:福永郁央
28日(月) 20:00〜21:40 秀巧社1Fレセプションギャラリー 2000円


 この公演はCAFE SONESのプロデュース。上演された空間がおもしろかった。
 作品は、グレコローマンスタイルの「ロング×アイランド×アイスティ」のほうがおもしろかった。あなピグモ捕獲団の「グラスホッパー」については、作・演出が少し手を抜くと俳優がどんな演技をするかを如実に示していて、俳優のレベルの低さが浮きぼりになった。

 グレコローマンスタイルの「ロング×アイランド×アイスティ」は、婚約者を偽の兄に紹介しようとしているところに本物の兄が現れるという話。
 兄が弟の婚約者と友人(男)をとり間違えてしまうなど、肝心のところでわざとらしさはあったが、婚約者を兄に紹介できないイライラ感はよく出ていた。小林民治と小柳有紀がなかなかいい。

 あなピグモ捕獲団の「グラスホッパー」は、笑った男を殺してしまった画家の男を、三人の男の責める話。実はその三人の男は幽霊だった。
 この舞台の俳優の演技は、観客をなめているとしか思えないひどい演技だ。致命的なのは、演じている側にそのような認識がないことだろう。
 画家役の天野智範はややまともな演技だが、それでもすべてに中途半端な動きだ。ファンタジーともいえる作りだからといってはじめから非現実な演技はできないから、一旦は積み上げる必要はあろうが、その手順を省略してしまった。だから、三人の幽霊と対峙する存在感さえもなくしてしまった。

、木綿達史、岩瀬幹基、光安和幸の三人は、フラフラとまったく中途半端。幽霊だからといってそんな演技が許されるはずはない。三人でいっしょに動くシーンがバラバラで半端で美しくないのを見ても、肉体の鍛錬がまったくできていないのがわかる。発声もダメだ。
 変わり身だけで何とかなると思ったら大間違いだ。あまり大した俳優でもない木村健二をいつまで引きずり続けるつもりなんだろう。

 秀巧社1Fレセプションギャラリーは、開いた二層の空間がなかなかいい。
 そのせっかくの空間にどうしてもイスとテーブルを置きたいらしい。むしろそれをとっぱらった舞台のほうが表現は広がるのではないか。もっと大きく発想したがいい。


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