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《2004.7月−9》

やる気が、空回り
【Your Isadora (マキノキカク)】

構成・演出:Maki Kurazono
16日(金) 19:40〜20:50 青年センター3階会議室 500円


 企画に表現力がついていっていない。それなりの素材だからちゃんとやれば、もっと瑞々しい舞台になったはずなのに。

 男女のふたり芝居で、ダンス・音楽入り。
 ダンサーのイザベラ・ダンカンと、妻子ある舞台演出家ゴードン・グレイグの十数年にわたる恋の物語。出会いからふたりの子どもの出産。しかしお金が原因の別れ、そして子どもの死。

 ふたりの手紙による展開。ややいびつでそれほどみごとというわけでもない脚本に、脚本家自身が酔っているという風情だが、脚本のみならず演出も演技もみんな自らに酔ってしまったところがあって、やる気が空回りしている。だからきちんと表現にはならない。
 なんとなくかっこよく見せようとするのではなくて、生身の人間の思いをちゃんと表現する姿勢がほしい。人物の心まで入りこんで、その喜びや哀しみを大きく舞台に展開してもらいたかった。

 そのように捉えかたで芯が通っていないところに、表現上は詠嘆調でテンポなどなしという平板な演出に終わった。もう一工夫あってもいい。
 演技も切れが悪くて喜びや悲しみや苦しみが際立たず、印象がトロ〜ンとしてしまった。ダンスの振付も演者のレベルに合わせすぎていて、スケールも切れも弱いために心地よくなくて、イザベラ・ダンカンをイメージできなかった。
 試みとしておもしろいだけに、練り上げ不足が残念だった。

 パンフ等に原作者名が書かれていないのが気になる。
 この舞台はきょうとあすで4ステージ。広くない会議室での公演で、40人ほどの観客で超満員だった。


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