歌やダンスのレベルはそれなりに高いにもかかわらず、なぜかド〜ンと響いてこないという舞台だ。
その理由は、@構成のまずさ、A練り上げ不足、B個性に乏しい俳優 ということになるだろう。
第1幕は、プロローグの「ハレルヤ」からはじまって、続く「ジャズコーナー」では「A列車で行こう」や「シング・シング・シング」などのミュージカルの名曲が8曲。さらに「ディズニー映画主題歌コーナー」が6曲。約1時間。
第2幕は、「様々な人生と夢」で「トゥー・ダウン・ホット」や「星に願いを」など夢をテーマにした11曲のあと、フィナーレが「歓喜のうた」。約50分。
構成のまずさ。
第1幕にダンスシーンが集中していて、それも「ジャズコーナー」の踊りがいちばん楽しい。
第2幕は歌中心でダンスが少ないのが不満。その歌はまあうまいが、歌にも役者にも個性がなくて心にそれほど響かない。第2幕のほうが短いのに、ずいぶん長く感じてしまった。
加藤敬二の振付はやや平板で、舞台全体がうごめくようなダイナミズムに欠ける。地声による解説もテンションを下げるだけで不要だ。
練り上げ不足。
細部がゆるがせにされているナンバーがある。群舞などそれなりの勢いはあるが、手の動きなどピリッとせず、舞台としての一体感が出ない。このあたり、ナンバーによってけっこう差がある。
完成度がいまひとつというナンバーが混じると、全体としての印象まで悪くなってしまう。
個性に乏しい俳優。
俳優は、決められた枠を満たすことだけに集中しているように見える。たしかに枠を満たすことだけでも大変なことだろうが、アンサンブルとしてまとまりすぎてエネルギーにあふれた舞台になっていないのは、技術の先にある俳優の個性が現れず、そのぶつかいあいも感じられいからだ。
この舞台は、9月11日から10月17日まで34ステージ。土曜のソワレというのに空席が目立った。
福岡シティ劇場の次回公演は「異国の丘」で約一ヶ月間で20ステージ。「マンマ・ミーア」と「アイーダ」が早く観たい。