久々の東京なので何を観るか考えたが、8月7日はなぜか公演が少ない。結局、30年ぶりくらいに芸術座に行くことにした。京マチ子と山田五十鈴の競演の舞台だ。
大阪の踊りの家元の思われ者であった女性(京マチ子)が、家元の息子(榎本孝明)との恋の確執で、大阪を離れて東京で割烹の女将をしている。そこに東京の踊りの女家元(山田五十鈴)が訪れたことを契機に女家元に弟子入りする。
しかし、家元の息子と再会したことで恋と踊りのあいだを揺れ動くが、家元の息子を女家元の娘(涼風真世)に譲り、女家元とともに踊りに精進するというストーリーだ。
恋への情熱よりも身を引く美徳を強調していて、あまり納得のいくストーリーではない。
京マチ子は初めて見る。山田五十鈴は見ているはずだが、いつどこで見たかは記憶がない。
京マチ子はいくつなんだろう、私が子供の頃にはすでにスターだった。それが今、30代の役をほとんど違和感なくやるから立派だ。
山田五十鈴は役のせいもあろうが、超ぶっきらぼうだ。しゃべりもぼそぼそと、一見素人の芝居のようにも見える。にもかかわらず、どっしりとした存在感があるのが何とも不思議だ。三味線や踊りはバシッと決まるのが見ていて気持ちがいいくらいなのだが、演技についてはこのクラスになると、地のままで役の方を強烈に引き寄せうまく納まってしまう。
ほかには、涼風真世がきれいだった。