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《2001.8月−9》

おどろおどろしさを創る知性
【血風生体験祭り (演劇血盟軍ハリケェンディスコ)】

作・演出:江崎穣
25日(土) 19:00〜20:50 シアターポケット 1500円


 原色を荒々しく塗りたくったという印象の芝居だ。

 時代設定は近未来、かって友人だった男が、九州と関西に別れて戦うという、壮絶な戦いの物語だ。
 近未来ではあるが、戦いには近代兵器を使わない。なぜか戦国時代のように生身でぶつかり合う生々しい戦いだ。

 客席の天井まで舞台空間として使う演出、一見だらしなく着られた着物、絶叫調のセリフ、赤を基調とした照明、ロック調の音楽と、おどろおどろしさが、それにはそういうやり方でなければ表現できない思いが表れている。そういう面を見せる芝居だ。

 しかし反面、キーボードを舞台に置いて、音楽や効果を舞台上でつける。そのときみせる役でないときの役者の理性的な顔と芝居の顔との落差が大きく、おどろおどろしさが完全な知的産物であるというあたりまえのことを常時意識させられることになる。それが面白かった。


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