一見脳天気な近未来SF風だが、現代のもつ不安定さを若干の隠微さも加えてうまく描いており、オリジナリティが評価できる作品である。
若い女性2人が別荘に買った星で、勝手に住み着いている宗教団体の3人を排除しようとして争う。星には地鳴りがして危険が近づく。しかしロケットの定員があり全員は地球には帰れない。さあどうする、といったストーリーだ。
地鳴りが近づく不安定の中にありながら、登場人物は、自己の利益や淡い恋愛に影響されて離合集散しながら、争う。暗鬱な舞台にせずにテンポよく進めながら、その閉塞状況と苛立ちはうまく出ている。
宗教団体の内紛の、なんともよくわからないところがおかしい。ぞっとさせられたのはその宗教団体の内紛で、No.2(町長さん)の男性が、責任者(県知事さん)の女性を強姦(というように見えたが、あるいは和姦か)して、責任者の座をねらうところで、はだけた衣服に隠微な、一種異様な雰囲気が走る。これを引き伸ばしても面白くなりそうだと思った。
細かいところでの不満はあるが、これだけの作品を作るのだから、チラシに、「スペースが余ったから(作者のことばを)書く」とか、「再演だから楽」だとかくだらないことを書いて公演の品位を下げない方がいい。パンフの「ごあいさつ」も支離滅裂で、一考を要するようだ。