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《2001.9月−7》

やぶれかぶれの面白さ
【MANTIS−8 (劇弾!ロックンロールツアー)】

作・演出:大竹謙作
15日(土) 13:00〜14:30 ぽんプラザホール 1200円


 ほとんどやぶれかぶれとしかいえない、何ともいわくいいがたい芝居だ。先がまったく読めないハチャメチャのストーリーに、くだらないギャグを連発され、タイミングを外していたり不発だったりするのが却って面白くて、キャッキャッキャッと笑い転げてしまった。
 不満だらけのはずなのに、わけもなく突然変わる登場人物のキャラクタや、役者が地でかけあう演芸風な場面でけっこう楽しませてくれたから、まあいいか、という感じだ。
 これからどういう芝居作りをするの?と言いたいところだけれど、このような芝居作りもセンスとしてはあってもいいだろう。このスタイルは徹底させていけば面白いかと思う。ただし作劇上、今回のように安易にピストルなど出さないでほしいと思う。

 作者のことばで「等身大」の芝居といいながら、作品はSF調だ。脇道にはそれるが本筋のストーリーははっきりしている。(といいながら、書きかけの感想をしばらく放っておいて、再び書き出そうとしたがもう思い出せない。だから感想はここで中断)

 劇場のことを考えてみた。この公演の「ぽんプラザホール」はいい。ここと「ふくふくプラザホール」ができたので、かってよく使われていた「キャビンホール」での公演はほとんどなくなった。これに若干機能は落ちるが「あじびホール」も加え、使用料も含め総合的に見れば、場所のよさで「ぽんプラザホール」が圧倒的にいいといえるだろう。
 今回の公演のように、このような劇場を劇団の第1回公演から使えるのはいいことだ。

 それにしても、ぜいたくな悩みかもしれないが、どのホールも客席数の割には劇場が広すぎるように思う。というのは、強烈に面白かった芝居は、観客どうしの肩がすりあうような、観客1人あたりの面積が小さいところで見たものが圧倒的に多いからだ。古くは六本木の「自由劇場」、今だと下北沢「ザ・スズナリ」と新宿「シアター・トップス」など、収容数の割には狭い劇場の方が舞台と客席とが一体になりやすい。だから面白かった芝居が多いのだろうと思う。
 条件を悪くしろとは言わないが、小さいのなら「シアター・ポケット」があるし、中劇場は「西鉄ホール」があるから、その間の「ザ・スズナリ」クラスの濃密な空間を持つ劇場が福岡にもほしい。

 さらに、もう少し大きい劇場で演劇の公演が打てる劇場も、常打ちの博多座、シティ劇場を除けば福岡にはない。一般のホールである「ももちパレス」、「大野城まどかぴあ」、「メルパルクホール」での演劇公演には不満が募る。「市民会館」や「アクロス福岡」のような、さらに中途半端なホールばかりが多すぎる。
 普通の演劇公演が打てる、「熊本県立劇場・演劇ホール」のような、1000席クラスの演劇専門劇場はどうしても必要だと思う。


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