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《2001.9月−8》

都若丸がすごい
【都若丸劇団】

作・演出:都若丸劇団
19日(水) 18:00〜21:30 博多新劇座 1700円


 博多新劇座には、柿落としの「紅あきら劇団」公演以来だ。今月は「都若丸劇団」、職場を比較的早く帰られる第3水曜日に行くことにした。まず、ローソンの駅前一丁目店で前売り券を購入するが、Loppiの機器に博多新劇座のLコード番号が貼り付けてあるのを見ると、行く前に前売り券(1700円、当日券は1900円)を購入する人がけっこういるのだろう。

「都若丸劇団」は、男性中心の劇団だ。座長・都若丸は端正な顔立ちで匂うような魅力がある。演技の幅も広い。後見的な立場の御大・都城太郎を除けばあとは若手で、元気はいいが座長との落差が大きいのはいたしかたない。

 プログラムは、開幕ショー30分、芝居1時間15分、口上(トークショーと物販)15分、舞踊ショー1時間15分といったところで、6時開演で終演は9時半、若干の休憩時間も合わせて3時間半という長い公演時間だ。これを昼夜1ヶ月続けるのだから、いつ稽古するの?という疑問さえ沸いてくる。

 開幕ショー、舞踊ショーについては、選曲された曲にいかにも演歌というネチネチした曲がほとんどなく、リズム中心の曲あるいはリズムを強調するように編曲された曲ばかりだ。だから舞踊もリズムに乗ったダイナミックなものになる。衣装はほとんど和装だが、その伝統的な暑苦しさが出ないよう、デザイン、色とも工夫がなされている。
 ショーはバラエティに富んでいて楽しめるが、特に座長の女形が圧倒的にいい。若いころの山本富士子かというほどの美人になり、衣装はモノトーンの和装で妖艶な美しさを見せつける。

 きょうの芝居は「泥棒道中」という演目で、大金を持って故郷に帰る男をねらう極悪の泥棒の話の1幕3場。座長はひげ面の泥棒役で、最後は捕まってしまうのだが、泥棒との道中から逃げたい男にしつこく取り入るところと、捕り物の暗闇のシーンが見どころだ。
 逃げたい男に泥棒が取り入るところでは、悪徳セールスマンの口ぶりと手口が彷彿とさせられ、笑いながらもぞっとさせられる。捕り物の暗闇のシーンはしつこいほどの長さだが、途中パッと照明が切り替わりテンポいい音楽が流れて、全員でのダンスシーンが数秒間挿入されるなど演出の工夫で楽しめた。このレベルの芝居が日替わりというのは恐れ入る。

 博多新劇座は、客席が椅子席165席、桟敷席35席で200人の定員。小さいながら花道もついている。観客は100人以上の入りで、夜の公演のせいか子供や若い人も多い。この劇団はそういう人が楽しめるのがいい。


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