終盤近くまで全然面白くなくて、また不満タラタラの感想を書かなければならないのかとイライラが募ったが、終盤になんとか持ちなおした。それでごまかされてしまいそうだが、全体的に作りの弱さが目立った公演だった。
遼一の誕生日に春名と奈々というふたりの女性が遼一の部屋ではちあわせする。遼一はいろいろ取り繕って切り抜けようとするが、ふたまたかけていたことが露見してしまう。
まずふたりの女性をはちあわせさせないためにジタバタするがムダで、なんとか言い逃れしようとするがそれもムダで、というところをニール・サイモンばりのドタバタで見せようとするのかなと期待していたが不発で、狙った笑いも全くとれず白ける。
救いは会話の軽さとテンポがあることだが、内容は薄い。
作りの雑さはかなり気になる。何でケーキが夕食代わりなのか、何でニンジンしか買えないようなところで高級ワインが手に入るのか等々、あまりにウソっぽい。
だから香典袋に包んだ祝い金、寿司ことば、プロレスごっこ、外れた風呂のドアなどの笑いを狙った工夫が生きてこない。これが全体の印象が薄い原因だ。舞台の印象はすっきりしているがうまく引っかかってこない。
だが最後の15分に見せ場を作る。
ふたりの女性にあいそをつかされた遼一は、やっと春名が好きなことに気づく。このあたりになってやっと本調子という感じで、春名を呼び戻して心が通ってハッピーエンド――が、これは「絶叫!逆転大恋愛」という愛情確認のドッキリカメラ番組で、遼一以外はそのことを知っていて奈々は愛情確認のための誘惑者役だったというのが落ちだ。
最後の15分のテンションが全編にわたってあればいいのだがそうはいっておらず、台本も演出も演技もまだまだ工夫が要る。
この舞台は劇団Noisy Stereoの旗揚げ公演で、きょうとあすで3ステージ。きょうは台風による風雨のなか劇場まで行った。20人強の観客だった。