このところのカタルシス拒否系に連なる劇団の公演のレベルの低さは目に余る。この舞台はその典型例だ。
昨年の公演はまあ面白かったので、どんどんパワーがなくなっているのではないかと思う。一般的にいういい芝居の範疇に入らなくてもいいが、内容もなく斬新さもなくあるのはただ公演したい!目立ちたい!という気持ちだけだ。そのうえ、「何となく面白そうでしょ、適当に感じてよ!」という甘ったれた無責任さで、仲間うちならそれでもいいのだろうが私のような一般客は救われない。
どこがどう無責任か。
脚本は、あまりに適当だ。
何も書く題材がないのならば書く必要はない。書くならばそれなりに内容があって練り上げられている必要がある。これは骨格らしいものもないし、デテールの書き込みも足りない。あるのは低級なギャグとCMなどの過剰な引用ばかりの超水増しの脚本で透けてみえる薄っぺらさだ。思わせぶりが過ぎる。
演出は、あまりに自己陶酔だ。
表現するものがないのにストロボを使って何になる!テクニカルは表現するものがあっての話だ。見るべきものは何もない。
演技は、あまりに粗雑だ。
ちゃんと動くこともちゃんとしゃべることもできていないが、ちゃんと動いたりちゃんとしゃべろうとしていないのは、どうも、「ちゃんと動く必要がある。ちゃんとしゃべる必要がある。」という認識さえもないからのようだ。逆だろう、カタルシス拒否の芝居だからこそ更にちゃんとやらないと伝わらないのだが、そういう認識もないようだ。
ラジオ放送機器で発信しようという男女と、テンノウを見張る男たち二人。おおざっぱにわかるのはそこまで。
男女のうちの男はピストルを持ち、女はスタン棒という武器を持っている。あとは、ハリーポッター、ロード・オブ・ザ・リング、魔剣、聖剣、アレキサンダー大王、アーサー王などなど支離滅裂状態で出てくる。終わってみれば、それでどうだったんだっけ、という感じしかない。
それにしても出てくるピストルがトカレフなのになぜ題名はリヴォルバーなんだろう。わからん。
イメージが飛んだり交錯したりというのは、かなりはっきりとしたイメージを作り得てこそできることで、それができていないところではいくつものイメージのできそこないがドロドロ状態で混在するだけだ。この舞台がそうだった。つらいばかりで全体の印象も何もあったものではない。
カタルシス拒否系のトップ劇団の悪いところばかりをわざわざ選ってしかも中途半端に真似している。エピゴーネンとしても最低のレベルだ。次回もこんなレベルなら以降観るのをやめることにする。
この作品はシアターポケットで4ステージ。最後のステージを観たが、満席だった。