つまらない水増し舞台だ。
くだらない無意味な「間」とよけいなセリフばかりでトロくてトロくて、舞台がのろのろとついてくるのをとても待っちゃおれない。眠い眠い。
ストーリーは支離滅裂だ。
白紙の手紙が送られてきた夫婦が警察を呼ぶ。手紙を出した男は殺されていて夫が犯人扱いされる。果ては、妻も近所の女も死んでしまう。
家のセットに外の電信柱。柱には「火の用心」と大書されたポスター。柱の根元には大きなポリバケツ。
電信柱?・・そう、これは別役実の世界を模したものなのだ。そうとわかれば、なぜストーリーが支離滅裂かも分かってくる。
しかし何となくまねしてみても、戯曲も演技も別役実とはまったく違う。別役への理解もなく簡単に別役らしき世界を作れると思うのは思い上がりだ。
別役実の作品世界は決して支離滅裂ではない。飛躍はあるが納得できる。セリフは研ぎ澄まされている。個性的な人物も、そこはかとないユーモアも魅力だ。そして世界の大きな広がりを感じさせる。
この「お手紙ください」は、それらの正反対だと思えばいい。内容もないのに思わせぶりなのも気に入らない。
この作品はアクロス福岡・円形ホールで1ステージのみの上演で、ほぼ満席だった。