博多の子ネコを主役にした本格的なミュージカルで、アイディアたっぷりでまったく飽きさせない。劇団道化の公演は初めてだが、大いに楽しんだ。
飼い主の東京転勤で東京に来たが、社宅においてもらえず家出してノラネコになる話だ。博多弁しかしゃべらない子ネコだから、ノラになったはいいが、しごと探しで苦労するところなど笑わせる。
アイディアはいっぱいだ。
舞台中央に回り舞台があり、これはドーナツ状の外側だけ回転するようになっている。場面転換はむろん、追いかけっこなどに効果的に使われる。下手には蛍光灯の街灯。夜のシーンになると明かりがつくのがなぜか新鮮に映る。
しごと探しでは、採用試験がクイズだったり、テレビのスター誕生でスターをめざしたりとアイディアたっぷりで楽しませる。
ノラの「太猫」が女性ジャズボーカリスト風だと思っていたら、ジャズアレンジのナンバーを堂々と歌って聴かせる。そのように、役柄もナンバーも幅を広げる工夫がされている。
多くの役を演じる10人弱の俳優たちは、演技も歌も安心して見ていられるレベルだ。ほぼ90分の上演時間で、見応えたっぷりの公演だった。
この公演は少年文化会館の自主事業で入場は無料。ほとんどが親子連れで、7割ほどの入りだった。