日本ろう者劇団の公演が、福岡手話の会創立30周年記念大会のイベントとしてあったので観に行った。
手話入りパントマイムだが、鍛えられたシンプルな表現がよくて楽しめた。
公演は、サンマイム(手話+パントマイムの形の一人パフォーマンス)が2作品、ムーブメントシアター(5人による身体表現)が2作品、ボディパズル(俳優のボディを使った即興劇ゲーム) で、全部で1時間半弱だった。
サンマイムの2作品はいずれも10分ほどの小品で、演じるのは井崎哲也。
「狩人」は、犬をつれて狩をする狩人の話。木の枝をかきわけ森を行く狩人、犬の様子、あらわれる動物たちをパントマイムで実に生き生きと表現する。体の細やかな動きが抜群だが、手話が入るのでちょっとついていけないところはあった。
「桃太郎」は、昔話のマイム。ストーリーはわかっているからテンポよくどんどん前に進められても、どう表現するかを楽しめた。ダイナミックというよりは、エスプリに溢れている。
ムーブメントシアターは、男2人、女3人で演じる。
「大きな木」は、女性に尽くしつくすりんごの木の話で上演時間は約20分。4人で木を形作るが、その動く形が作る表情が実にいい。
「スポーツ・ア・ラ・カルト」は、スポーツシーンをユーモラスに強調したマイムで、ゴルフ、相撲、サッカー、シンクロナイズド・スイミング、モーグル、ジャンプ など15種目もやる。スローモーションなど使ってうまく表現していて楽しませる。
あと、ボディパズルは、観客のリクエストに応えて形を作る一種の形態模写で、電車、飛行機、自動車、ジェットコースターの乗り物シリーズだった。リクエストした子どもを舞台に上げて実際に乗せてみせる。
装置はなく、音はなく、衣裳はシンプルで、俳優の身体と若干の手話による表現だが、鍛えられた身体表現の面白さに満足した。
今回のイベントではこの劇団による公演のほか、福岡手話の会メンバー6人による手話スピーチがあった。みなさん表現力豊かなのは、手話にマイムの要素を取り込んでいるためかな、と思った。