今月の博多座の昼の部は、「鳴神」、「三人連獅子」、「弧狸弧狸ばなし」の3本。バラエティに富んだ取り合わせで楽しめた。
「鳴神」は、龍神を滝壺に閉じ込めた鳴神上人が雲の絶間姫に籠絡されてしまう話で70分の上演時間。鳴神上人から胸に手を入れられた雲の絶間姫の表情、特に唇の動きが色っぽい。
「三人連獅子」は、勘九郎父子による子獅子役が2人の連獅子で、二人の連獅子に比べると迫力は大きく増す。長唄、三味線、鼓と20人近い舞台での音曲と、間に入る狂言振りも楽しめた。1時間弱の上演。
「弧狸弧狸ばなし」(北條秀司 作・演出、奈河彰輔 演出)は、間男といっしょになりたいばっかりに夫を殺す女房と、殺されたふりをして間男と女房に復讐する夫との騙しあいをおもしろおかしく描く。
勘九郎演じる夫が役者で女形で、夫婦の役割も逆転という設定が笑わせる。浮気に積極的な女房が生き生きとしているのが何とも楽しいが、殺したつもりの夫に仇を取られて気が狂ってしまうのだが・・・。
テンポがよくて笑える。現代語でわかりやすいのもいい。1時間半強の上演時間。
昼の部は「弧狸弧狸ばなし」だけを一幕見で観る予定だったが、売り切れていて昼の部全部を立見で観た。橋之助や福助の演目による役柄の違いが楽しめた。