福岡演劇の今トップへ 月インデックスへ 前ページへ 次ページへ


《2002.10月−4》

熊本で☆玄海竜二を見た
【劇団かつらぎ+玄姫劇団公演 (片岡演劇道場)】

構成:片岡演劇道場
6日(日) 13:00〜15:30 片岡演劇道場(熊本) 1000円


 熊本に行ったついでに片岡演劇道場に玄海竜二を見に行った。その切れ味のいい演技が楽しめた。
 熊本に住んでいたころにはしょっちゅう近くを車で通っていたのに、片岡演劇道場には行ったことがなかった。行こうと思ったのは、玄海竜二が毎日出演していることを知ってからだ。きょうやっと果たせた。

 構成は、はじめに1時間のお芝居で、15分の休憩ののち1時間15分ほどの舞踊ショーがある。お芝居の時間が短いのが少し不満だが、演目は日替わりだからこれ以上を望むわけにもいくまい。
 きょうの公演は、ゲストの劇団かつらぎがメインで、玄姫劇団より玄海竜二と姫川竜之介がからむことになる。

 お芝居は、やくざの組の跡目を狙う代貸(玄海竜二)とその妹婿で系列の組の親分(桜木英二)のバトルにからむ話だ。代貸から金をもらって親分の命をねらう男(姫川竜之介)がいて、その娘(桜八重子)は親分のところで下働きをしている。男は娘に、親分のお茶に毒を盛るようにしむける。
 はじめのシーン、代貸は義弟である親分に組乗っ取りの本音を漏らすが、親分がなびかず敵対するとみるや、親分殺しを男に依頼する。その代貸と親分の丁々発止のやりとりは、セリフはよどみなくことばの調子まできっちりと決まっている。受けて返して状況が進展するところをきちんと押さえたやりとりは迫力だ。その演技のなんとリアルで豊かなこと。玄海竜二の嫌らしい表情には悪役らしさもたっぷりだ。
 男が自分の娘に、娘が信頼している親分を殺すように説得するシーンもみごと。哀願したり、脅したり、だましたり、なだめたりとあらゆる手を使ってやっと娘に承諾させる男を姫川竜之介がしつこく演じる。

 後半は迷う娘と親分のやりとりが中心。娘が親への義理と主人への忠義の間で揺れ動く様をこれまたしつこく演じる。
 娘は結局忠孝を取り、毒を自ら飲み干す。真実を知った親分は代貸のところに乗り込み代貸を殺して戻る。代貸と親分の対決シーンがないのは不満だが、上演時間の都合上しかたあるまい。
 それにしても、こんなじっくりと演じるところばかりの芝居を一夜漬けで作り上げるとは、大衆演劇はすごいとしか言いようがない。

 舞踊ショーは少し間延びしすぎ。それでも各座長のステージは見せる。新撰組の衣裳の玄海竜二もなかなかいい。

 片岡演劇道場は住宅地の丘の上にあり、急傾斜の狭い道をのぼってやっとたどり着く。
 舞台下の広間には長テーブルが縦に6列。弁当やビールを売っていて飲み食いしながら見られる。風呂が併設されていて自由に入られる。これで入場料1000円では赤字だが、それは座長大会の儲けで穴埋めする、とは玄海竜二のあいさつのなかのことばだった。


福岡演劇の今トップへ 月インデックスへ 前ページへ 次ページへ