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《2002.10月−19》

晩秋の清和村での☆新作文楽は楽しい
【雪おんな (清和文楽人形芝居)】

原作:小泉八雲 脚色:半藤一利 作曲:鶴沢清介
30日(水) 13:30〜14:30 清和文楽館(熊本県清和村) 500円


*** 推 敲 中 ***

 きょうは休みを取ってこっそりと(といってもこの感想でバレバレだが)清和文楽の新作「雪おんな」を観に行った。楽しめた。清和村の晩秋の風情もなかなかいい。

 「雪おんな」を見た男が、口外することを禁じられていたのに、妻となって子までなしていた雪おんなに話してしまう。雪おんなは本性をあらわし男を殺そうとするが、母としての情にほだされてそれをやめ、雪の中に去っていく。
 ラフカディオ・ハーンの原作を半藤一利が脚色した台本は男女の情愛をうまく表現している。

 人形操作も太夫も三味線もレベルが高く、完成度は高い。
 太夫(竹本友寿)、三味線(鶴沢友清)はいずれも20代だろうかずいぶん若いが、情感たっぷりに表現する。
 人形遣い(清和文楽人形芝居保存会)は、細やかであでやかな動きでこの美しい怪談の情感を表現する。雪おんなおゆきの美しい顔の人形が、一瞬にして恐ろしい形相に変わる「ガブ」という仕掛けを効果的に使っている。
 おゆきの着物が雪の結晶の模様だったり、脚本に「おてもやん」や「五木の子守唄」の歌詞を取り込んでいるのはご愛嬌だ。

 約45分間の上演のあと、ふれあいタイムとして人形遣いの説明がある。おゆきの人形遣いは3人で行うが、その3人ともかなり年配の田舎の主婦だった。

 清和文楽館は小ぶりな文楽専門劇場で観やすい。併設の展示室には文楽人形が展示してある。
 この公演は「熊本県民文化祭inかみましき」のイベントとして4日間で8ステージ。観光バスまで来ており、平日の公演というのに満席だった。「初演優待鑑賞キャンペーン」とかで500円という安すぎる入場料だった。


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