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《2002.11月−3》

熱は◇伝わってくるんだが
【幻想浪漫奇譚〜幸せの見つけ方〜 (九州産業大学演劇研究部)】

作・演出:田尻学
3日(日) 18:40〜20:15 九産大学友会棟1F大会議室 無料


*** 推 敲 中 ***

 アクション中心の展開でまあ楽しめた。作る側の熱が伝わってくる。
 しかし構成の弱さに加え、ハイテンションのままの一本調子でたいくつなところもある。

 貧乏なモンモン村の村長の娘マリアの持つ不幸を避けるペンダントをめぐって、勘違いの勇者や弱い魔王、盗賊の兄妹がからむ。入り組んでいる割には同道巡りや説明不足があったりでやや分かりにくい。脚本はもう少し整理してくれたがいい。
 人物はみな弱く人間的で、それを認め合うことで幸せになる、というテーマに見えた。

 アクションはじめ表に見えているテンポは一見いいように見えるのだが、引っぱっていくストーリー展開が弱く内実のテンポがのろいのだ。だからべったりで一本調子になる。同じ状況を2度3度と見せられている気分になる。
 人物の弱さを強調するのはいいが、魔王も勇者もみんな同じような個性になってしまった。魔王の新開裕樹がなかなかおもしろいだけに、もう少し個性を際立たせてくれればよかった。

 チャンバラとアクションは九産大の伝統なのだろうか、けっこうこなれている。装置は中央にひな壇、上手と下手には斜めに板壁と、前回公演と同じように見えたが不自然さはない。
 俳優もそれぞれの持ち味をよく発揮していた。

 この公演は九州産業大学演劇研究部の香椎祭公演で3ステージ。私の観たラストのステージは40人くらいの観客だった。
 九州産業大学演劇研究部は12月にも冬季公演として田中真美子の新作公演を予定している。それは今年度3本目の公演になる。並みの劇団よりもよほどキッチリした活動をしているのがわかる。


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