*** 推 敲 中 ***
素直な舞台だが、突っ込みが弱すぎる。
まどかぴあ芝居クリエーション2002KIN−DO芝居の2作品目で、飯塚の劇団翔空間の公演だ。この劇団は初めて観る。
両親の離婚で離れ離れに暮らしていた歳の離れた姉妹の恋とお金の話。
売れないミュージシャンの恋人がいる妹はトトロ好きで、そのグッズ購入でカードローンにまで手を出している。金融機関勤務の姉は亡くなった父の会社が倒産してその借金の額に脅えている。ストレスからホストクラブに出入りし、売れっ子ホストとつきあっている。
妹が転がり込んでいた友人のところに姉まで転がり込んできた。そこでの二組のカップルと、転がり込まれた姉弟の生活が淡々と語られる。
構造、ストーリーが単純で喰い足りない。セリフもどうでもいい埋め草ばかりだ。もっと含むものがあってもいい。
せっかくいい雰囲気なのに、現実離れとしか見えない設定が白けさせる。例えば、金融機関勤務の姉が妹の居候先に転がり込むか? その姉の荷物がスーツケースふたつだけということがあり? 借金は相続放棄すれば関係ないし。
転がり込まれた姉弟の弟がホストクラブでアルバイトで、転がり込んだ姉妹の姉の恋人がホストというのはいかにも作為的でリアリティに欠ける。
それにしてもなぜこうも人物を貧乏たらしく描かねばならないんだろう。
普通の生活者にはドラマがないと言わんばかりだが、人物の思いに貧乏がへばりついていて思いが飛ばない。人物は不自由のきわみだが、それをやさしくみつめる風情。かれらがわずかに安らぐことがメルヘンとはいえまい。
この舞台は福岡では2ステージ。半分くらいの入りだった。