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《2002.11月−10》

憧れの星由里子を☆見たぞぉぉ
【三婆 (東宝・博多座)】

原作:有吉佐和子 脚本・演出:小幡欣治
19日(火) 16:30〜20:05 博多座 プレゼントチケット


*** 推 敲 中 ***

 憧れの星由里子をやっと見た。
 星由里子は、甘ったるい東宝青春映画のファンだった10代の私にとって、香港女優・尤敏とともに憧れの的だった。「若大将シリーズ」のヒロインで、役柄は清楚で健康的だった。はっきりした目鼻立ちだが笑顔は愛くるしかった。

 かなり歳をとってから作家・花登筐と結婚し、夫に先立たれた。舞台ではかなり早くから活躍していたが、花登筐に先立たれてから活動が本格的になったように思う。
 数年前大阪で半年ほど暮らしたとき、松竹座での星由里子座長公演など行きたいと思ったが果たせなかった。こんどやっと見られた。今回は知人にもらったチケットで初めての1階席で、星由里子を近くで見られてうれしかった。

 金融業者・武市浩蔵が死に、本妻(池内淳子)、小姑(曾我廼家鶴蝶)、妾(星由里子)が本妻宅に同居することになった。小姑の家は借金払いのために売り払い、妾の家は借家だったからだが、同居した三人は互いに角突き合わせていがみあってばかり。娘から追い出されて転がり込んだかっての会社の専務・重助(左とん平)がなだめ役だ。
 が、本妻の追出し作戦が攻を奏して小姑と妾は本妻宅を出て行くことになる。が、いざ出て行く段になると、淋しいからと本妻は泣き崩れ、結局いっしょに暮らすことになる。
 終幕はそれから10数年後、高齢だが相変わらずエゴ丸出しの4人の共同生活の様が描かれてしみじみと終わる。

 星由里子の演じる妾・駒代は、芸者あがりで浩蔵の死後は料理屋を開業しようとするがうまくいかない。星由里子は、粋で気位ばかり高いが実は貧乏で四苦八苦の駒代の虚勢をうまく見せる。姿も個性もすっきりしている。
 それが終幕では痴呆になってしまい、実にかわいい老女になる。このややロマンチックなメイクが却って、若かりしころの星由里子を彷彿とさせる。

 この作品は、昭和36年に発表された有吉佐和子の原作を小幡欣治が脚色し、昭和48年に芸術座で初演された。初演は三益愛子の名演技で知られ、以後キャストを変えて再演を繰り返している。
 きょうは平日でもありかなり空席が目立った。歌舞伎やミュージカルに比べると団体客が少ないのか、終演後劇場に横付けされているバスは1台だけだった。


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