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《2002.11月−13》

くだらない遊び●ばっか
【ドアドア (花詩マシーン)】

作:村山隆 演出:古賀毅
24日(日) 13:05〜14:10 ぽんプラザホール 1200円


 ありきたりのプロットをくだらないアイディアで水増しした脚本を、さらにくだらないアイディアで薄めてしまったという舞台だ。

 大会社のオーナー社長の息子が引きこもりで、執事に呼ばれた鍵屋が開けようとする。当の社長とその妻、超能力者のお手伝いさんも登場してのテンヤワンヤの末、兵器製造に乗り出そうとしていた社長は開いたパーティで官界に取り入ることに失敗し、反戦運動をしている息子との和解が示唆されて終わる。

 脚本はこの内容なら20分で十分というところを、無理に無理をして1時間に引き伸ばしている。結果、くだらない寄り道ばかりの何というトロい展開だろう。例えば、「B」を電話の相手が「D」とか「V」に聞き間違えるシーンなど何の面白みもないから、引き伸ばす意味などない。そんなシーンばかりで、くだらんギャグや説明調のセリフの何というテンションの低さ。社長の変化に焦点を合わせただけでもドラマはぐっと展開するはずなのに、自ら作った状況を膨らます気もないようだ。
 そんな低レベルの脚本だ。書くことがないのなら書くな。観客の身にもなってみろ。

 演出は脚本のくだらないアイディアを補正するどころか、くだらなさに輪をかける。寝転がったり踊ったりどついたりわめいたりと、リアルであろうとはしないが、ときどき突然リアルにもどるという汚さ。ウソっぽいところでやるならやるでちゃんと徹底しろよ。効果など度外視して、低級な手持ちネタ丸出しのやりたい放題だが、闇雲に何でもやればいいというものではない。
 俳優も審美眼ゼロ。演じるに値しない脚本や演出ならば演じるのを拒否しろよ。こんなんじゃ、観客はどうすればいいんだ!

 この舞台はきのうときょうで3ステージ。私の観た回は8割ほどの入りだった。


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