現役高校生によるこの作品は、高校生らしいテーマに何のてらいもなく真正面から素直に取り組んでいて、魅力的で好感の持てる作品になっている。
唯は、かって妹・麻衣を目を離した隙に事故死させたという自責の念が、トラウマにまでなってしまっている。それを、ベンチで一緒になったスピンアウト気味の三人、先生を殴って停学中の加奈子、就職しようかと考えている基樹、優等生の朋美 との会話によって癒されるというストーリーだ。
この作品の魅力は、人物の個性とその人の思いを、テンポのいい会話でうまく表現していることだ。
そのことで4人の気持ちが徐々に通い合う過程を自然に受け入れられる。だから通過儀礼というべき唯による麻衣の死についての告白も唐突ではなく受け入れられ、そのあとの唯の肩の力が抜けた状態というのも素直に理解できるのだ。
状況設定やセリフにユーモアも散りばめられけっこう笑った。現役高校生が書いたセリフはまったくオーソドックスで、いわゆるギャル語らしきものはほとんどない。やや改まり気味かなという気はしたが、女子高校生がすべてギャル語を話していると考えるほうが間違っているのだろう。
演技には余計なところがなく、人物の思いに到達しているのがいい。
みんな素直で、等身大の高校生をみずみずしく演じていた。男性部員がいないためか基樹を女性(荒巻和子)が演じるが、その柔らかなのに突っ張ったというところがなかなかいい。
この公演はKIN−DO芝居2002の4作品目で、修猷館高校演劇部2002冬季特別公演とも銘打たれている。演劇集団☆六光星というのはKIN−DO芝居出場のための劇団名で、2年生が主体だという。
全部で3ステージで、私の観た回は7割ほどの入りだった。