福岡演劇の今トップへ 月インデックスへ 前ページへ 次ページへ


《2002.12月−16》

めくるめく展開に◎クラクラ
【七芒星 (新感線)】

作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
19日(木) 19:00〜21:55 赤坂ACTシアター(東京) 6800円


*** 推 敲 中 ***

 いのうえ歌舞伎の徹底的なわかりやすさと、ダイナミックな舞台のおもしろさを堪能した。
 単純ではない設定に単純ではないストーリーなのに完全にわかるように書き込まれている。あわせてド派手なスペクタクルで、いのうえ歌舞伎のパワーに圧倒されっぱなしだった。
 劇団☆新感線の最新作は前売りは早く売り切れるほどの人気で、そのわくわくするような楽しさから、いのうえ歌舞伎が大衆性まで獲得しているのがよくわかる。

 古代中国大陸が舞台。世界を支配する魔鏡をめぐる戦いを描く活劇ファンタジー。
 20年前に七宝星と呼ばれる7人の勇者たちによって倒されたはずの悪の女帝・鏡皇神羅が甦った。魔鏡の力を再び手に入れようとたくらむ鏡皇に、勇者の一人・揺光の息子・輪剣と、仙術道士の金令女が立ち向かう。

 人物の関係が複雑で、ストーリーも複雑だ。
 鏡皇神羅の甦りとともに七宝星(7人の勇者たち)も甦った。だが彼らは正義の味方ではなく、揺光を除く6人は鏡皇神羅の手下になっていた。これが題名の七芒星の由来だ。
 今新しい七宝星が必要だが、集まった勇士はごく普通の人(何かよくわからない7人と呼ばれる)でいっこうに強くない。支援者は殺され、彼らも悪人に追い詰められてしまう。
 台本のていねいさは、例えば、なぜ鏡皇神羅が甦ったか、なぜ七宝星(7人の勇者たち)が鏡皇神羅の手下にならざるを得なかったのか 等々、実にうまく説明される。だから、何で?という疑問はほとんど残らない。そのような脚本だ。

 演出はとことん派手だ。
 多くのライトをダイナミックの動かす照明にびっくりする。ロックコンサート並みだ。音響も派手で、耳をつんざく音も平気で使う。
 緩急のつけ方は実にみごとで、派手さばかりではなく、しっとりした場面はじっくりと見せる。

 俳優は、鏡皇神羅役の高田聖子が悪の妖しい魅力いっぱいで迫力。髯爺の橋本じゅんのほんとうの姿である武術の達人・武玄への変わり身もおもしろい。七芒星の一人・開陽の栗根まことが悪役をしつこく見せる。

 魔鏡の力をコントロールできる「虹のしずく」と呼ばれるものが彼ら7人の勇士の手にあったとわかる。それを使って反攻を始めて鏡皇を魔境に閉じ込めて彼らは勝利する。が、「虹のしずく」が悪用されるのを避けるために彼ら7人の勇士は今後会わないことを約し、各自その破片を持ってまったく別の方向に向かって出発する。

 久々の新感線だったがパワーアップしているのがよくわかった。中島かずき・いのうえひでのりコンビの活躍ぶりは、2003年4月に新感線「花の紅天狗」、8月に新橋演舞場「阿修羅城の瞳」が予定され、2002年8月の新橋演舞場「アテルイ」のDVDが2003年3月に発売されることからもわかる。
 赤坂ACTシアターには初めて行った。1236席とかなり大きいが、最後部でも舞台に遠いという感じはあまりしない。
 当日券をゲットするために受付時間の午後1時からぴあの特番に電話をかけた。7分後にやっとつながり12番目だった。まあいい席で観られた。


福岡演劇の今トップへ 月インデックスへ 前ページへ 次ページへ