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《2003.1月−2》

抜群の○おもしろさ
【松元ヒロのブラックユーモア 〜男と女のいる風景〜 (東区女性協議会)】

作・演出:松元ヒロ
11日(土) 14:50〜16:15 東市民センター 500円


*** 執 筆 中 ***

 東区女性協議会の主催の「東区のつどい」で上演された松元ヒロの一人芝居は、いろんな面を持つ松元ヒロの魅力に溢れていて抜群のおもしろさだった。

 漫談、パントマイム、形態模写からイッセー尾形ばりの一人芝居までと幅広いが、それらはみんな切れ味がよい上にみごとに毒を含んでいる。
 ネタの素は妻のものの見方というが、ややはすに構えながら柔軟な庶民の目で縦横斜めに切りまくり、かなり踏み込んだドキッとするようなことまで言う。それがいやみにならないのは素朴ともぼうようとも見える姿形としゃべりのためだろう。

 客層をうかがうような漫談からスタートする。
 そのあと、「牧師の説教」。キリストが「祈ってないで早く降ろせ馬鹿やろう!」と言うとか、「パンのみによって生きるにあらず、パンとワインとステーキとスープと・・・」という感じだ。
 日本一わかりやすいというパントマイムは、やる前に説明するからだそうだが、ガラスに囲まれた部屋のガラスの壁が中央に押し寄せてくるというマイムは、ちょっとした恐怖も感じさせてみごと。

 ニュースペーパーの元メンバーらしく時事ネタの扱いはみごとだ。
 アフガンの話からふたつの正義の話に移り、童話「桃太郎」を鬼の立場から描いてみせる。たまちゃんの話は「間違って出てきただけ」とかわしたり、「イージス艦出していいじすかん?」というような軽い駄洒落のようなものも、数多くテンポがよくて楽しめる。 小泉首相の形態模写は、その形よりもひねった話の内容のほうがおもしろい。

 一人芝居は「むかしのクリスマス」。
 ケーキを買ってきた父親が、すでに妻も子も寝ていてひとりでわびしく食べるだけの話だが、真っ暗ななかで蛍光灯のスイッチの紐をさがしたりマッチでストーブを点火するしぐさなど見せる。けっこう長くじっくりと演じられてほろっとしてしまう。

 最後に、普通の調子で読まれる「きょうのニュースと天気予報」をパントマイムで同時通訳的に、直訳、意訳、字面訳を組み合わせながらユーモラスな姿態で演じる。笑い転げた。
 観客は女性の会のメンバーが中心でほぼ満員。ほとんどが女性だった。みんなパフォーマンスにはすっかり満足という感じだった。


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