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《2003.1月−10》

美形で☆芸達者
【市川千太郎劇団公演 (博多新劇座)】

構成:市川千太郎劇団
25日(土) 12:00〜15:25 博多新劇座 1700円+指定席料200円


*** 推 敲 中 ***

 市川千太郎劇団の公演を観たかったから、久々に博多新劇座に行った。この劇団はシアターテレビジョンでも放送された実力派だ。
 お芝居も踊りも楽しめた。満員で大入り袋が出ていた。

 第一部のミニショーは踊りが5曲。座長・千太郎は最初と最後。あいだに、あかね、センヤ、ユウキが入る。約25分。
 千太郎の女形は春川ますみ風で、とびきり美人というわけではないが、小太りで愛嬌がある。ユーモラスな動きと豊かな表情がいい。
 あかねはあでやか。センヤは繊細でさわやかなな踊りで、扇子の使い方と手の表情がいい。ユウキは若さではちきれんばかりのかわいい町娘風。みんな美形だ。

 第二部はお芝居「へちまの花」。座長がブスで粗野だが心根のいいおよねという娘をうまく演じて、ほろりとさせてハッピーエンド。約60分。
 ちょっとした手違いからブスなおよねと祝言をあげることになった庄屋の若旦那。庄屋は若旦那に入れ知恵して、およねのほうから祝言を断らせようとする。
 @若旦那は労咳を患っている A庄屋の先祖が泥棒だった B若旦那は賭場に借金がある という3つのことにおよねは、@夫婦なんだから面倒を見る! Aかっこいい! 見張りでも何でもする! B庄屋に頼まれた借金取りを痛めつけたうえで自分のへそくりで返そうとする といったぐあいにみごとにクリア。
 しかしおよねは、みんな芝居だったことに気づいて傷ついてあきらめて帰ろうとする。そこに若旦那がおよねにプロポーズ。

 お芝居では、セリフがみごとに入っているのに驚く。
 やりとりは稽古十分と言う感じでよどみがない。キッチリとした展開をキッチリとしたセリフが支える。庄屋が若旦那に、「白浪五人男」並みのけっこう長い泥棒のセリフを教える。若旦那がそれをたちどころに覚えるところを、センヤは当然のごとく長いセリフを朗々としゃべって演じる。

 第三部はグランドショー。踊り・歌が全部で15曲。約1時間20分。
 座長は15曲のうち5曲にからむ。刀を持ったやくざ、モノトーンの和装美人と幅広いが、舞台上での芸者から洋髪和装美人への着替えをやったり、大詰め15曲目の「雪女郎」では女郎蜘蛛の精をダイナミックに演じる。
 槍を持って三波春夫の歌にあわせて舞う良二の俵星玄太には、一人芝居で一編のドラマを演じている趣さえある。

 ここまでやられると、押さえ込んでいた想い・忘れていた思いが心の底から浮かび上がり、苦しい生き様が慰められているような気さえしてくるから不思議だ。自分の生がいとおしくなってくる。
 そこまでやる座長には熱烈な追っかけが多そうで、「千さま」と掛け声が飛ぶ。観客の年齢層は高い。
 きょうは桟敷まで満員。ロビーの掲示板には初日からの大入り袋がずらりと貼り付けてあった。


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