*** 推 敲 中 ***
楽しめるダンス公演だった。タイトルどおり、男女の関係の微妙なありようを、痒いところ手が届くというみごとな振付で見せる。
はじめの30分は、孤独が人間の関係を希求する様を伊藤キムがソロで踊る。
天井から地上1メートル弱の高さにつるされた8つの深い傘のライトが天井近くまで引き上げられ、8つのスポットできた舞台を、のたうちまわり、抱こうとするしぐさも空を切る。孤独を象徴する蛇口から落ちる水音がずっと聞こえる。
パントマイム的な動きではあるが、ときに大きな動きが入ったりと抽象的なところもあり、ソロとしてはやや長く少したいくつした。
あと男女4人づつのダンサーが登場し、伊藤キムと入れ替わる。この8人のダンスは、鍛えられた美しい肉体のダイナミックな動きが過不足なく男女の関係を種々相を表現していて感動的だ。そして納得させられてしまう。ややエロチックなところも楽しい。
はじめはなじみ合わない男と女、それから女に迫る男、そして男に迫る女、さらに女をめぐり争う男が表現される。くっついたり離れたり、その関係を象徴的に表した場面がダイナミックに変転転していく。男に飛びかかる女、それを放り出す男、それらの動きはなまめかしい。
やっとペアになった男女が抱き合う。蛇口の水が止まる。
ひとつひとつの場面が実に鮮烈だ。8人をうまく配した舞台の構成が、シンプルな照明とも相まって、すっきりと心地よい。
鍛えられた肉体を見ているだけでも気持ちがいいが、それらが表現するさまざまな関係のありようにグイグイと引き込まれる。
この公演は福岡市文化芸術振興財団などの主催で、平成14年度舞台芸術講座のひとつ。きのうときょうの2ステージで、きょうはほぼ満席だった。