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《2003.1月−13》

生き生きした○楽しい舞台
【ララバイブリッジ (トン・ピン・ラボ)】

作:山口隆克
26日(日) 17:00〜18:20 ぽんプラザホール 1500円


*** 推 敲 中 ***

 劇団トン・ピン・ラボ 旗揚げ公演と銘打たれているが、昨年12月に亡くなった山口隆克の追悼公演でもある。
 私は山口隆克の印象はほとんどないが、この公演で配布された「漂流画報」第56号1月25日改訂版では、4ページにわたる追善企画「山口隆克のあしあと」が掲載されていて、その経歴が概観できる。ありがたい。
 カーテンコールでの古賀毅のあいさつによると、今回上演の「ララバイブリッジ」は亡くなったとき半分しかできていなかったという。それに山口の残したものを加えて参加者で脚本を完成させ、演出も参加者が工夫したという。

 女子プロレスの話だ。
 ニコニコ女子プロレスでは、レスラーたちが節分にバトルロイヤルを行い、みんなが鬼と認めた者が引退するという慣例になっている。
 鬼にならないために節分前から繰りひろげられるレスラーたちのバトルをややドタバタ調で描く。レスラーは、けがから復帰のリッパー、出血のジェット、柔道着でマスクのジュードー、悪役のサクラコとサバ、それに新入りのますみ。さらに元レスラーでレスラー復帰をもくろむ看護婦のハル。
 それぞれに思いも弱みもあり思惑が錯綜するが、結局鬼は大団体に引き抜かれて辞めるレフリーの京平になる。

 個性的なレスラーを贅沢な配役で固める。
 俳優は、役の個性をさらに強調する工夫をしていて、それがけっこううまくはまっていて、みんな生き生きと演じている。演出がいないほうがみんなでアイディアを出し合って、却っておもしろい舞台になるのではないかという思えるほどだ。
 テンポと勢いがあるのもいい。例えば、京平の遅刻の言い訳など何ということもない話なのだが、勢いで見せてしまう。俳優の乗りがいいせいもあろう。

 状況がわかっていく前半が、説明調にならずとてもおもしろい。この前半の会話の膨らませ方は魅力的だが、山口が書いたとしたら確かに才能を感じる。
 後半は肝心の試合が楽しめず、若干空回りでややたいくつなところが出てくる。終わり方も、京一の引退という形じゃいかにも蛇尾という感じでもったいない。
 でもまあ、全体的には笑えて満足できた。

 このステージはきのうときょうで3ステージ。ほぼ満席だった。


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