*** 推 敲 中 ***
劇団トン・ピン・ラボ 旗揚げ公演と銘打たれているが、昨年12月に亡くなった山口隆克の追悼公演でもある。
私は山口隆克の印象はほとんどないが、この公演で配布された「漂流画報」第56号1月25日改訂版では、4ページにわたる追善企画「山口隆克のあしあと」が掲載されていて、その経歴が概観できる。ありがたい。
カーテンコールでの古賀毅のあいさつによると、今回上演の「ララバイブリッジ」は亡くなったとき半分しかできていなかったという。それに山口の残したものを加えて参加者で脚本を完成させ、演出も参加者が工夫したという。
女子プロレスの話だ。
ニコニコ女子プロレスでは、レスラーたちが節分にバトルロイヤルを行い、みんなが鬼と認めた者が引退するという慣例になっている。
鬼にならないために節分前から繰りひろげられるレスラーたちのバトルをややドタバタ調で描く。レスラーは、けがから復帰のリッパー、出血のジェット、柔道着でマスクのジュードー、悪役のサクラコとサバ、それに新入りのますみ。さらに元レスラーでレスラー復帰をもくろむ看護婦のハル。
それぞれに思いも弱みもあり思惑が錯綜するが、結局鬼は大団体に引き抜かれて辞めるレフリーの京平になる。
個性的なレスラーを贅沢な配役で固める。
俳優は、役の個性をさらに強調する工夫をしていて、それがけっこううまくはまっていて、みんな生き生きと演じている。演出がいないほうがみんなでアイディアを出し合って、却っておもしろい舞台になるのではないかという思えるほどだ。
テンポと勢いがあるのもいい。例えば、京平の遅刻の言い訳など何ということもない話なのだが、勢いで見せてしまう。俳優の乗りがいいせいもあろう。
状況がわかっていく前半が、説明調にならずとてもおもしろい。この前半の会話の膨らませ方は魅力的だが、山口が書いたとしたら確かに才能を感じる。
後半は肝心の試合が楽しめず、若干空回りでややたいくつなところが出てくる。終わり方も、京一の引退という形じゃいかにも蛇尾という感じでもったいない。
でもまあ、全体的には笑えて満足できた。
このステージはきのうときょうで3ステージ。ほぼ満席だった。