*** 推 敲 中 ***
あれ?という感じだが、これがふたりの初めてのソロライブだそうだ。構成上の工夫もあるが、ゲストなしで2時間近くたっぷりと楽しませてくれる。常時ドッとくるというわけではないが、じっくりと見せてくれてときどきグイと引っぱりこむ。
オープニングは国旗掲揚だが、実際揚がってきたのは旗並みの大きさに拡大された博多にわかの面。
続くコラボ漫才は、映像と音楽とのコラボというが、CGもテレビのCMの解説もそれなり。
コーナーの合間にはスクリーンが降りてきて、山本華世や氷川きよしや山田花子などが「華丸・大吉に足りないものは」について話すビデオが大きく映写される。
はじめのコントは取調室のコントで約15分。華丸の刑事と大吉の容疑者。
容疑者は黙秘していて、かけられる歌謡曲の歌詞でナンセンスな答えをする。それに刑事がややまともな反応をするおもしろさをねらう。突っ込みの大吉とボケの華丸が入れ替わった。ただスピードと勢いに欠け、はじけ方は今ひとつだ。
このあとふたつのコーナーは、ひとりでやる「大吉一人歩記」と「華丸一人歩記」。
「大吉一人歩記」は、「司会しない円楽」や「体操しないちびっこマン体操」などテレビ画面を茶化すトークで、それなり。約10分。
「華丸一人歩記」は、博多弁で語る落語「天災」。落語は大学のとき1年いた落研での経験だけだというがなかなかどうして。やや荒っぽい力強いしゃべりで30分近くをみごとに演じ切る。乱暴者が心学者に「人からの軋轢は天災と思い仕返しするな」と言われ、それを逆手にとって人に「自分の乱暴を天災と思いうらむな」とすりかえる話。人物の形象もなかなかよくて聞かせる。他で磨いた芸が落語にも反映していると思う。
ふたつ目のコントは、キャラクタ人形風に女装趣味がある肉体俳優(ケイン・華丸)が、寝起きをドッキリカメラに襲われるという話。必死でごまかす華丸のあわてぶりがおもしろい。約10分。
以上のように1990年に結成されたこのコンビのソロ公演は楽しめた。
華丸・大吉は、あしたから家号である「鶴屋」「亀屋」というのをやめて、単純に「華丸・大吉」にするという。
客席は通路まで立ち見の観客であふれ超満員だった。