観ているのがつらくなるという舞台だ。
とりあえず舞台に乗せちゃえ!とやけくそで打った公演か、でなかったら、乗り越えるべきハードルが低すぎる安易な公演でしかない。料金を取るのがおかしいとしか思えないレベルだ。
高橋いさを の戯曲だが、その戯曲の持ち味はつまらない演出と演技でもののみごとにかき消されてしまっている。策を弄さずとも素直にやっただけで戯曲の魅力はある程度は顕われるはずだから、この舞台は戯曲に何かを付け足すどころか、わざわざその魅力を殺すマイナス効果しかないつくりだといえる。
銀行での警備訓練をおもしろくするために参加者がその粉飾にのめりこむという話だ。
一回目、強盗はカウンターの金を奪って逃げるが人的な被害はなく、スムーズに運びすぎてもう一回ということになる。
二回目、撃たれる権利争いをする参加者のなかから支店長が撃たれて死ぬ。しかしそれでも不満で人質・籠城したいと言い出す。
三回目、強盗は参加者を人質にして立てこもり、警察に囲まれ追い詰められてふたりを除いて死んでしまうところまで行ってしまう。撃たれた女性行員への手術や、強盗に内通した女性行員の父が支店長だったというようなはちゃめちゃな展開だ。
そして・・・、というところで終わる。
以上のようなぶっ飛んだごっこ遊びのおもしろさをほとんど表現していない平板すぎる舞台だ。演出不在とていねいさのない粗雑きわまりない演技がその原因だ。
セリフは緩急をつけず垂れ流し。キーとなることばもつまらんしゃべりに埋もれてしまって、理解するなと言わんばかり。大事なセリフはがなればいいと思っているらしい。
動きもダラダラ動きばかり。全員バラバラな動きのうえにちゃんと静止することさえできないから、すべてのシーンが焦点が合わずぶれっ放し。
基本的な訓練が欠けているのみならず、関係ないところでニヤニヤしてみたりと舞台に取り組む姿勢もおかしい。うんざりだ。
この公演はきょうと明日で3ステージ。きょうは半分ほどの入りだった。