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《2003.2月−12》

新人ばなれの☆☆新人公演
【アズロにおまかせ!/アスナロ (ふわっとりんどばぁぐ)】

作・演出:妥田回向/作・演出:純友秋久
16日(日) 14:05〜16:50 ぽんプラザホール 無料(招待券)

 劇団ふわっとりんどばぁぐの新人公演は、新人による新作と、キャストを変えての代表作の2本立て上演で、この劇団のレパートリーの幅をさらに広げ、有望な新人をみごとに送り出した。

 「アズロにおまかせ!」は、「〜大学生に親切をするの巻〜」の副題で、宇宙からやってきた アズロ が大学生・智の恋の手助けをする話。上演時間は約50分。
 アズロ が実は殺戮兵器として開発されていたとか、アズロの同僚の モエド が地球人とキスをしてみたいがために地球人の体を乗っ取るとか、エピソードはかなりありきたりとも思えるが、それを智と千絵のいまどきないようなうぶな恋にうまくからめる。生き生きした脚本だ。
 それを俳優たちは、かなり極端に強調しながら演じているのが楽しい。特にアズロ(山田紅)の極端から極端にとぶ軽さ、潤一(客演の不破一夜)のすっとぼけた巧まざるユーモアが楽しい。

 「アスナロ」は、死んだ青年の、血のつながらない妹と恋人との、確執から理解しあい信頼しあうまでをじっくりと描くふたり芝居。上演時間は約1時間30分。
 劇団ふわっとりんどばぁぐの旗揚げに上演され、その後も上演されている作品で、今回は春日裕子と山田紅の持ち役に松尾優夏と楢崎千春が挑み、みごとに演じきった。
 ふたりの演技もさることながら、全体的に押さえ気味ながらふたりの微妙な心の動きをていねいに拾い上げた演出のよさに支えられている。前回の上演のとき気になった若干の粗っぽさ、不自然さがほとんど気にならなくなった。それだけ納得できるレベルになった。

 そのような演出に俳優はよく応えた。真実が露呈していくにつれてふたりの思いも顕われ、それでほんとうのふたりの個性が見えてくるという構造だが、揺れ動きながらも一歩一歩階段を昇るように理解しあっていくところを繊細に演じていた。ちょっと泣けてきた。
 2回目の舞台と初舞台でここまでやるとは、期待の女優のかなり劇的な登場だ。

 この公演は1ステージだけ。観客は招待者だけで、当然演劇関係者がほとんどだ。
 この舞台は一般公開してもいいレベルだと思った。


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