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《2003.5月−3》

勢いも芸だ
【カマー カマー ライブ (あんみつ姫)】

作・演出:とまと
4日(日) 14:00〜15:30 西鉄ホール 4000円


 劇団あんみつ姫のことしの西鉄ホール公演は7ステージ。毎月行っているわけではないのではっきりしたことは言えないが、親富孝通り劇場でのステージのベストの演目の集成ではないかと思った。
 昨年私が観たステージは空席が多かったこともあり若干白けたところもあったが、このステージはそれぞれの演目も魅力があり、客席もほぼ満席で、勢いを出すための工夫もいろいろなされていて見せた。

 オープニングとエンディングを含めて、1つが5分前後の13の演目で構成され、それにエイジの前説ととまとママの後説がつく。このパターンは親富孝通り劇場のステージと変わらないが、前説と後説を除くショーだけで1時間強と少し上演時間が増えており、そのぶん充実した。
 とまとママの和装でのソロの踊り(「女人高野」)、エイジのひとりコント(「和田アキコ」)、ダイナミックな群舞(「PINK CHAMPAGNE」、「ULTRA SOUL」)、コント(「美味しいきのこ」)などをうまく組み合わせてテンポよく進める。

 そのようなバラエティに富んだ演目もさることながら、1つの演目に幅を持たせる工夫もされている。
 例えば、「ひとりじゃないの」は、ママのダンスかコントを見せるかと思いきや、観客を舞台に上げて客いじりを始める、と見せて、ママと同じコスチュームの10数人が登場して踊り狂いたあげく、舞台に上げた観客と記念撮影しトークまでしてしまう、といった具合だ。そのような工夫がされていてそれぞれの演目は単調ではない。それらがバランスよく組み合わされるからけっこう満足できる。

 勢いがどういうところに出ていたか。
 ダンスがずいぶんよくなっていて、「PINK CHAMPAGNE」や「ULTRA SOUL」のきらびやかなダンスシーンは楽しめる。
 西鉄ホールの使い方も、かなり広い舞台の全面を使うのではなくて、両サイドにスピーカーを置き、舞台中央を額縁で囲んでそこに力を集中させて印象の分散を防いでいた。衣裳は楽しく、レベルの高い照明や音響の効果もあって、勢いが客席に噴出してくる。

 今回は羽犬塚歌劇団から4人、BODY−Mから1人が参加で、新鮮さと幅が出ていた。客いじりは相変わらずだが、これはまあしかたがないか。
 スポンサーがついたということだが、その名前を舞台で連呼したりチラシまで配るというのは、スポンサーが観客にとってどんなメリットがわるかわからない現況では違和感があった。やるならもっとさりげなくスマートにやったほうがいい。


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