西日本新聞会館にある福岡国際ホール主催の落語会だ。楽しめた。
出演は粗忽家勘朝一門の内浜落語会。今回が第一回のこの会は、前売り券は売り切れていて、入場するのに苦労した。今後毎月開かれるというからうれしい。
演じられた順に感想を述べる。
「お血脈」(勘珍)
善光寺のお血脈(はんこ)を額に押してもらうと罪状消滅する。だから、人が来なくなって困った地獄の閻魔大王や鬼たちが、石川五右衛門にお血脈を盗みに行かせるという話。約15分。
勘珍の落語は相変わらず切れがいい。安心して聞けるが、まだ20代半ばのはずなのに16年のキャリアだという。小学5年生からやっているというから納得。
「たらちね」(勘楽)
ていねいな言葉遣いの女房をもらった話。約10分。
やや荒っぽいが、話のおもしろさをみごとにデフォルメしたもっていき方でグングン引っぱりこんでいくのがいい。
「片棒」(酔書)
大店の主人が、身代を譲る者を決めるために、自分の葬式のやり方を訊いて、3人の息子の了見を試す話。約25分。
それぞれの息子の話が、テンポがよくて引き込まれる。
「漫才」(69'S)
なかなかバシリと決まらないところも愛嬌か。しかし、最後にネタをもういちど繰り返すのは、ちとたいくつで白けた。約10分。
「皿屋敷」(勘朝)
まくらで天神寄席の開催の経緯が語られた。落語をリーズナブルで身近に、をモットーに、東京・大阪の芸人を呼ぶ50分の1の費用とか。
皿屋敷は、番町皿屋敷におきくの幽霊を見に行って、おきくの幽霊が出て、それが評判になってワンサの見物人。一大エンターテインメントとなってしまう、という話。まくらも入れて30分弱。
おきくの幽霊の形がいい。下座の効果もあり、なかなか迫力がある。幽霊がエンターテナー化してくるところなどのばかばかしさがおもしろい。SARSの話など時事ネタも挿入される。聴き応えがあった。
会場は満員で、180人の入場者だとか。年配者が多い。
次回は6月21日(土)に開催される。