六月博多座大歌舞伎に先駆けて開かれた、アートリエ主催の歌舞伎入門講座は、アートリエ・カフェスペースいっぱいの聴衆で大盛況だった。開始ぎりぎりに駆けつけたら、座席がなくて立ち見になってしまった。
講師は、博多座の常務取締役の荒牧大四郎氏。松竹でプロデューサーや劇場支配人をされているが、仕事がらというよりも、ご自身が歌舞伎が好きでたまらないというのが伝わってくる話しぶりだった。
ことし阿国の歌舞伎踊りから400年を迎える歌舞伎を、「物持ちにいい芸術」だという。過去にヒットした作品が繰り返し上演されるから、こんなのもあんなのも、と多彩になる。いろんなものが詰まっていて奥が深いから、見方については、自分の好みにあわせて見ればいい、という。
歌舞伎の歴史がコンパクトに語られ、おおざっぱに、荒事=江戸、和事=上方という、土地柄とそこに生まれる作品の傾向が説明された。
いっぱいある歌舞伎のなかからどう選んで見ればいいかについて、好きな役者あるいは好きなジャンルを作ること、とアドバイスされた。
あと、役名と実名の話や、船乗り込みのこと、屋号の説明などをされた。そして、六月博多座大歌舞伎の各演目を簡単に解題してもらった。それを聞いていると、歌舞伎の多彩な魅力を見せようとする、演目の絶妙な組み合わせがわかってくる。
参考のためのビデオの上映が少しあった。
質問は、初心者は何を見ればいいのか、役者が立役か女形かをどうやって決めるか、掛け声のかけ方、昼公演と夜公演のあいだ役者は何をしているのか、の4つ。
最後、いかにも歌舞伎好きの講師らしく、「見ないとわからない。見とかないと損」だから、劇場に足を運んでほしい、と締める。
開放的なアートリエ・カフェスペースでの、肩肘張らないこんなイベントは楽しい。100人以上の参加者だった。