この劇団の新作で番外公演ともいえるこの舞台は、上演時間1時間強の中篇で、相変わらずの切れのいい舞台でまあ楽しめた。
それでも、会場の問題と、中篇であることからくる不満も感じさせられた舞台だった。
クリーンアップ協会の婦人部長選挙の話。
現婦人部長・吉永の「ローコスト・ハイレベル」という方針に切れた掃除婦・田中が、婦人部長に立候補する。本音で語る田中は仲間を惹きつけ、吉永を逆転して当選してしまう。
この劇団らしい生きのいい演技は健在だが、何せ会場の環境がよくない。特に音の響きが悪いため、勢いがどこかに吸い込まれてしまって、演技の生きのよさが客席まで伝わりにくい。そのもどかしさを感じてしまった。
照明や音響の悪さもしかたないのだろうけれど、俳優がややかわいそうな気がした。
脚本についてはこれまで、せっかくのいいテーマをこじんまりとした結末にもっていくのが不満だったが、この作品では1時間強の中篇ということもあり、その傾向がさらに強くあらわれてしまった。
清掃のありようのディスカッションの過程で、田中と吉永の理解が進んだとはいえ、田中は当選後、吉永と考えが同じだとして、婦人部長を辞退して吉永を推薦する。「ローコスト」に反対したのはどこに行ってしまったんだろう。結末に向かって ごまかし気味なのが気になる。そんなにきっちりと落とそうとしなくてもいいのではないか。
パンフに劇団代表が「ここ、青年センターは十何年間私たちがお稽古に使っている場所なんです。今時無料でお稽古できるところなんてないですよね。ほんとうにありがたく思います。」と書いている。
もう35年以上前、青年センターができたばかりのころ、労演の活動をしていた私は、仲間を集めてここで「日本演劇史」や「新劇史」の勉強会をしていた。
ワンコインシアターのおかげで再び行くようになったが、人の出入りも多く、活性化しているのが喜ばしい。
この舞台は くうきプロジェクト の ワンコインシアター第6弾で、きょうとあすで4ステージ。超満員で、立ち見も出ていた。