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《2004.2月−3》

斬新な切れ味が生みだす、パワー
【Study (ラーメンズ)】

作・演出:小林 賢太郎
2日(月) 19:05〜20:10 西鉄ホール 招待


 15分から20分のやや長いコントというか短いふたり芝居というか、それが7つ。
 ひとつのコントの長さが3分とか5分でない分、きっちりとした構成で演劇的である。その発想の豊かさと、変幻自在な表現がうまくからまって、お笑いの域をはるかに超える圧倒的なおもしろさだ。

 15分から20分というのが、アイディアを演劇的に深めたり引き延ばして、そこからじっくりとラーメンズの世界を作るのにちょうどいい長さのようだ。
 そのやり方は、単純な演劇のやり方に比べて圧倒的に幅広い。状況設定はそれほど変わっていはいないが、ふたりの役の性格はけっこう極端で、物の言いかたといい、その内容といい、いかにも虚を突かれる。それが新鮮だ。
 その虚の突きかたは、徹底的に知的だ。勘違い、知らんぷり、過剰反応、すれ違いなどが頻発し増殖し、それが補正されることもなく、本筋をかわしたよけいなジャブも入れながら、どんどん話は突っ走る。その運びはくどくなく、あまりガッチリとはからなまい。そういう点ではコント的といえる。だから観終ったあとに、どうおもしろかったのかといわれても、なかなか言葉にならない。

 全面壁で、中央に出入り口というシンプルな装置。開始前、遠くに響く電車の音。
 装置にみならず、全体的にシンプル。だが、舞台が広いという感じはしない。
 動きのいい表現は斬新で、その振幅は大きい。ふたりの心のブレが、そのまま響いてくるという印象だ。片桐仁の大げさな表情に、つい引き込まれる。

 そのおもしろさは言葉にならないからと、内容に触れずに逃げるしかない。うぅ、ほんとは、ちょっと時間をおいたら、話のポイントをほとんど忘れてしまったから。
 ラーメンズのおもしろさは映像化されてもよく伝わるから、DVDやビデオで見ても十分におもしろい。

 この公演は、1月31日から2月2日まで5ステージ。満席だった。


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