劇団四季のロックミュージカルは、みごとな舞台美術の、ダイナミックな舞台だった。
歌やダンスも、超ド級の作品でないこのような作品のときのほうが、そのレベルの高さがよくわかる。
キリストの物語。
キリストを裏切るユダと、どこまでもキリストを信じてつきしたがうマグラダのマリア。
キリストはつかまり、民衆にも見捨てられて、十字架に磔になる。
キリストが民衆から信頼されているときに、キリストの運命を予見するユダ。大きくはその予見どおりにことは運ぶ。
その入れ子構造の中で煩悶するキリストとユダを突き放して見るところから、新約聖書のロックミュージカル化という発想が生まれている。
そのため、内容は新約聖書に沿いながら、キリストを絶対ししない醒めた視線につらぬかれている。
「ライオンキング」や「オペラ座の怪人」のような超ド級の作品よりも、このような作品でこそ四季の俳優の実力がわかる。のびやかで表現力豊かな歌に加え、きっちりと決まるダンスとダイナミックなフォーメーションがみごとで、いかにもグイグイとストーリーが運ぶ。
グレーの大地、民衆のグレーの衣装、それらの陰影をくっきりとさせた照明と、印象深いモノトーンの世界を作り上げた舞台美術が秀逸だ。
キャスト表を見て驚くのは、アンサンブルの出演者に韓国名と中国名の俳優の多さだ。女性アンサンブル12人のうち10人がそうだから驚く。
この舞台は、5月23日から6月13日まで21ステージ。若干空席があった。