おもしろそうなこと と おもしろいことは決定的に違う。
この舞台、おもしろそうではあっても、詰めが甘くておもしろさにまでは至らない。そのようなもどかしさが残ってしまう舞台だった。
近未来にタイムスリップしてしてしまった女子高生とその教師とカメラマンの男の3人。そこでは人類がウィルスのために次々に死んで滅亡に向かっている。
このような舞台は嫌いではないから、無理やり楽しめはするが、不満のほうが多い舞台だった。
内容も舞台づくりもファッショナブルを狙っていて、過剰なまでにデコレイティブではあるが、どこか芯が抜けている。
ストーリーは、その人物のキャラクタがわかりにくいこともあって、なぜ博士が死に瀕した人々を見捨てて逃げたのかとか、肝心のところがよくわからなかった。「破滅」がテーマとはいえ、何か暗いものがうごめくだけで不鮮明な印象しかなかった。ファンタジーにもそれなりのリアリティは必要だろう。
その表現方法は、かって流行ったド派手な小劇場系あるいはファッショナブルな舞台をめざす劇団の模倣だが、その捉えかたが古くさく、わざわざ甘くてつまらないところばかりをまねしている。それは、戯曲にも演出にも演技にも当てはまる。
自分に甘え観客をなめた「おもしろそうな舞台」にではなくて、観客を引っぱりこむ「おもしろい舞台」にシフトするべきだ。
この舞台はきのうときょうで4ステージ。2000人分の前売り券が完売していて、ほぼ満席だった。