リアルで素朴で、安倍祐馬の作品に影響を受けた三原宏史のふたり芝居だ。
そのようなリアルさのなかに、会話に三原らしいエスプリもあるが、脚本は構成が今ひとつ。セリフももっと練り上げられたがいい。
2人暮らしの姉と弟。
積極的な姉とやや消極的な弟の、平々凡々たる日常。その姉の妊娠と失恋。そしてふたたび、平々凡々たる日常へ。
前半は5分ぐらいのシーンを繋げながら、時に恋人同士のような姉弟の会話が続く。それがドラマを孕まないのはつらいところだが、時々チクリという三原の会話はまあまあ。弟の描いた絵本の内容にからめて、近親相姦的なにおいがさりげなく込められているのもなかなか。
姉は妊娠するが、高望みのその恋は破れるという後半は、姉の失意ということを弟の絵本とからめるなどひとひねりしているのはが、包丁まで出てくるのは安倍祐馬作品を意識しすぎだ。スライドの使い方なども含め、別のありようがあるだろう。
身の丈を間違えたとして、もとの平々凡々たる生活の幸せに戻るにしろ、ちょっとさりげなさ過ぎる。セリフも軽すぎてうわすべり気味で、もう少し練り上げの余地がある。
この舞台は、劇団内ユニットensenbleの第2回公演で、3日から4日まで6ステージ。観客は7人だった。