この舞台は、博多「楽」が「能はスペクタクル」と考えていてそれを実践していることがよくわかる舞台だった。
オーケストラとの協演など思い切った企画も楽しかった。
ニ部構成で、第一部は「博多の四季」。
「秋」は、放生会を地謡と小鼓・大鼓・笛で語る。約7分。
「冬」は、師走の町の賑わいを、映像をバックにオーケストラが豊かに奏でる。約11分。
「春」は、「小塩」を梅若六郎の地謡、金春惣右衛門の太鼓で。名人芸にホレボレ。約5分。さらに「梅の精の舞い」を梅若六郎と稚児2人が舞う。約8分。
「夏」は、山笠をテーマに、オーケストラと小鼓・大鼓との協演で聞かせる。約10分。
第二部が、創作能「博多『山笠』」。
隣国の旅人が山笠のルーツをたどるという話。櫛田神社で会った老人から、聖一国師の聖水のいわれと祇園社の祭神・素戔鳴尊の話を聞く。そして7月14日の深夜に再度神社を訪れた老人は、うたた寝の夢の中で疫神を退散させる素戔鳴尊の夢を見る。目を覚ませば、ちょうど一番山の櫛田入り。上演時間約1時間20分。
ラスト近くの、素戔鳴尊が疫神をやっつけるシーンの迫力はみごとだ。派手な立ち回りと地謡・和楽器・オーケストラが一体となって、優雅なのにダイナミック。大衆芸能のような楽しさまでを感じさせる。ただこんな協演はここだけで、全体的には能とオーケストラでシーンごとに分担しているのはやや物足りない。
素戔鳴尊と疫神の立ち回りの軽やかな動きが実にいい。疫神の鷹尾章弘は、立ち回りのみならず静かなシーンでの切れのいい幅の広い演技もすばらしい。
気になったのはナレーター。解説がジャマだと思っていたら、地謡部分までしゃべったのには興ざめしてしまった。
上演後、会場全体で「博多祝い歌」そして「博多一本締め」。
この舞台はきょう1ステージ。ほぼ満席だった。