劇的(=演劇の楽しさ)とはどういうことなんだろう。それはどこから生まれるのだろう。この舞台を観ていると、おもしろさの素はやはり脚本だと確信したくなってくる。
バビロニア カンフーマンの「紅い男〜復讐の二十四話〜」は、何のドラマもないただのつまらない話で、演出も演技もやりようがないだろう。だからものすごくたいくつ。
ギャングママMAXの「F/R〜明日に輝け!ぼくらのレッド・オーディション〜」は、内容も表現も幼稚なところに安住していて、やることは低級なクスグリばかりで白けてしまう。
そのようにまったく期待はずれの公演だった。席に座って最後まで観つづける苦痛もわかってくれ!と叫びたい。耐え切れなくてきょうはずいぶんと眠ってしまったが。
「紅い男〜復讐の二十四話〜」は、ちょうど"うなぎ"のように捉えどころのない脚本で、まったくひっかかってこない。どこに興味をつなぎながら見ろというのか。
世界征服を企む組織・ジョーカーが、資金稼ぎのためにテレビのヒーロー物の悪役をするという話。はじめから見えているストーリーに緊迫感などなし。セリフも陳腐なうえによけいな話ばかりで、これでは眠るなというほうが無理だ。最初からストーリーが見えてしまっていたのもある―どっかで観たのかありきたりの話のためか、その理由はよくわからない。
そのような脚本選びのみごとなまでの失敗が致命的で、光安戯曲で冴えをみせる演出でも、個性的俳優たちの生きのいい演技でもとり返しようがない。上演時間1時間10分はこの内容では長すぎる。
「F/R〜明日に輝け!ぼくらのレッド・オーディション〜」は、最後の種明かしで構成が少し見えてくるが時すでに遅しという、脚本の平板さが致命的だ。
レッド・オーディションを受けるオカダには、アカダというライバル。マインドリアンの攻撃をアカダとともに防ごうとするのだが・・・。
1時間強の上演時間で、始まってからの40分はムダばかりで、5分で十分の内容だ。幼稚な人物の幼稚なセリフで、情感なく共感もなし。陳腐すぎるストーリーの上に、話の進展がトロすぎることにイライラして、頭が熱をもってくる。
演技は、わずかにヒーローのアクションシーンとアカダ(三浦としまる)の若干の動きがかろうじて見られたくらい。全体的にその演技は無機的で単調で粗っぽくて、繊細さのかけらもない。
このような傾向の芝居はあってもいいが、ここまで空疎で底が浅くてはどうしようもないだろう。もう少しまじめにやったがいい。やる側がこれで満足しているとしたら言語道断だ。
この舞台は第1回ハイブリッドと銘うたれていて、きょうとあすで4ステージ。1回目のステージを観た。若干空席があった。