スカスカとすきま風の吹き抜けるという舞台だ。
脚本は大事なことをわざわざ省略して内容なさすぎだし、演出ではその幼稚さだけを見せつけ、演技は動きもしゃべりもほとんどデクノボウ状態で、舞台には情感も何もなし。うんざりしてしまった。
劇団をしている男と、寺の娘との愛と別れの話。
終始優柔不断な女は、恋愛を望みながら、寺を守るために男と別れる。男もあきらめる。
ほんとに何もないそれだけの話を、男と女それぞれに影の人物がいて心情吐露ともアドバイスともつかないつまらない会話で水増しする。そのよけいな会話に、男と女が話す何十倍もの言葉を使う。アホラシ!
この男と女はものすごく淡白というかむしろ避けあっていて、理解しあう気もなく愛し合ってもいない。恋の喜びなど微塵もないというひどさだ。女の言う、寺の仕事のためという別れる理由もよくわからん。男も何の工夫も努力もしない。あぁそう、と白けるしかない。ここまで貧相にしなくてもいいだろうに。
男の影が女と話すなどという納得しがたい不自然さも目だった。デートの時の女の履物がスリッパに見えたが、カカト部分を踏み潰してスリッパ状になった靴だ。どういうつもりでこんなものを履かせるのか。そこに、女のだらしなさではなくて、舞台づくりのだらしなさを感じてしまった。
この舞台はきのうときょうで3ステージ。最終回を観た。20人弱の観客だった。