放送劇がもとになっている脚本のためか、言葉での説明が多すぎるという印象があった。
舞台用にするにはもっと言葉を簡潔にしたがいい。さらに舞台らしい演出がほしい。
ふたつの病室。
一方は、自殺しようとダムに行って溺れている子どもを助けた元教師。
かたや、財産目当てに他人になりすまして生きてきた初老の女。その息子は自分が女の実の子ではないと感づいたらしい。
そのふたつの病室の人間どうしが直に絡むことはないというのがドラマとしては弱いが、「ウンノ悪いヤツ」に「悪女」をくっつけたという作りだからやむを得ないか。
悪女とウンノ悪いヤツのそれぞれと思いを共有する若い看護士の存在によって、かろうじてひとつの芝居になっている。
会話だけで進めていてアクションが少なくメリハリが弱いのがつらいが、その会話もテンポが悪い。
ウンノ悪い元教師のセリフはじっくりと書き込まれていて、繊細な思いをうまく表現しているが、ややナヨナヨなのが気になった。悪女のセリフはくどいけど軽すぎて、気のいい意地悪ばぁさんにしか見えない。もっとドスを効かせてガラッパチで利己的でというところを強調して、それでも実は・・・という、そんな幅広さがあってもよかった。
動きにも工夫の余地がある。ふたつの病室の動きをシンクロさせるなどして、立体感を出すまで練り上げることもできたのではないか。それをやる統一的な演出がほしかった。
この舞台はきのうときょうで3ステージ。30人くらいの観客で、若干空席があった。