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《2004.10月−10》

寝ていてもわかってしまう、薄さ
【バギー・バニー (ゲキダン:ロックンロール・ツアー)】

作・演出:大竹謙作
16日(土) 15:05〜16:25 ぽんプラザホール 1800円


 眼を開いていられたのは、状況がわかるまでの開幕後15分だけ。
 あとラストまでほとんど寝ていたが、それでもわかってしまうという内容の薄さだ。

 ドロボウと、それを追いかけてきた刑事ふたりは、地図にない町に来てしまう。
 そこは痴呆の王様が治める町。そこに住む3人は、食べ物もなく鬱々とした日々をおくっていた。

 まったく推進力のない脚本で、開幕後15分と終幕とで何が変わったというのだろう。
 ストーリーは一見進展しているように見えるが、仮想の町がなくなったというそれだけのこと。なぜなくなったのかはサラリとしゃべられるだけで、変化の原因となるアクションの印象が極めて弱い。人物は何も考えずヤミクモに動き、大事なものやどうしたいなどという思いはものすごく希薄だ。
 そんなふうで、町についても思い入れを持たせるようにまでは書き込まれていないから、町がなくなっても何とも思わないことになる。

 そのようなゲームのキャラクタのような大雑把な人物描写は、この劇団に近いグループ劇団に共通している。
 そのような事象は、先輩から受け継がれる大学演劇の徒弟制度にまだ縛られていることを示してはいまいか。その結果、自分の独自性を出しておもしろい芝居を作っていこうという探求心が欠落した。もっと視野を広げて、画一的な発想やノウハウから脱却することを本気で考えたがいい。どうせマネるなら、もっと本格的なものをマネたがいい。

 この舞台はきょうとあすで3ステージ。半分以下の入りだった。「シティ情報ふくおか」に公演情報の掲載もなく、制作者不在が見えてしまう。


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