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《2004.10月−13》

バラエティに富んだ、ショートコメディ
【売名旅行 (グレコローマンスタイル)】

構成:グレコローマンスタイル
22日(金) 20:00〜22:05 ぽんプラザホール 2000円


 前回の公演が観られなかったので、久々にグレコローマンスタイルの公演を観た。舞台づくりがずいぶんよくなって、安心して観られて楽しめる舞台だ。
 今回はショートコメディ4本で、バラエティに富んでいる。舞台に若干のムラがあったのは、まぁしかたないだろう。
 場面転換用の映像作品の工夫はいいのだが、そのセンスも質も悪くて、却って全体の印象を弱めてしまっていたのが惜しい。

『完全なるワルフザケノワルダクミ』(作・演出:山下晶とグレコローマンスタイル)
 田舎からの珍しい焼酎のテレビ中継で、本番前にレポーターがトイレに行っていなくなったりというドタバタもの。上演時間30分弱。
 「割不酒(ワルフザケ)」という焼酎のネーミングがおもしろいし、それを作った人が背振の山奥のはずなのに沖縄弁(らしきもの)を岡本ヒロミツがたっぷり聞かせて笑わせる。レポーター役のゲスト・バンカヨコもすっきりとしていてなかなかいい。

『戦略会議』(作・深江聡子 脚色:岡本ヒロミツ 演出:不明)
 「時空戦隊アースレンジャー」という番組の脚本を、作者がいない間にスポンサーの社長らが勝手に改ざんして「職安戦隊ワークレンジャー」に変えてしまう。上演時間20分弱。
 ペットボトルを使って机上で動きをシミュレーションし、その動きを、あとで実際に登場した3人のレンジャーがやってしまうというのがおもしろい。笑った。

『僕は翼がないからうまく踊れないんだ』(作:西原栄志 演出:山下晶)
 口で擬音を発しながら日常をパントマイム的に描く男のひとり芝居。上演時間約10分。
 高校生の生活描写の動きはいいが、やや単調でたいくつだ。内容に薬味を加えたりデフォルメしたり、演出で時間を縮めたり引き延ばしたりなどの工夫があってもいい。告白して振られ、さびしいからひとりでいる―そこから「神よ、人はなぜ群れたがるのですか?」と飛躍するが、それを支えるものがなくて惹きつけられない。

『ロング×アイランド×アイスティ』(作・演出:山下晶とグレコローマンスタイル)
 恋人の両親に紹介するために兄の身替りを友人に頼んだ男。ところがそこにがさつな本当の兄が現れて、誤解が誤解を生んで・・・というドタバタ。上演時間40分弱。
 この作品は2回目だが、前回のほうがおもしろかった。演出が弱く、個人芸に流れているところがあって、兄弟・恋人・友人という三つ巴がうまく絡まず、おもしろさはいま一歩だった。

映像作品『テンショクへの扉』(脚本・監督:岡本ヒロミツ)
 コンビニ店長と店員とシェフの三人が金儲けのため海賊をしようとして心変わりし山賊になって、逃げてきた銀行強盗の財布をものにするが、肝心の強奪した金には気がつかない。
 なんかジメジメと暗くてピリッとしない映像で、テンションが下がる。画面の小ささも問題だ。ないほうがよほどスッキリする。

 この舞台は、北九州公演3ステージ、熊本公演3ステージを経て、福岡公演は5ステージ。その初日を観た。ほぼ満席だった。


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