参加したかったが、他とかぶっていて参加できなかった「演劇大学in福岡」を、短い時間ではあったが見学させてもらった。
4日間でトータル20時間を超えるワークショップ。地元の演出家4人が、日本演出家協会の演出家4人とタッグを組んで、いろいろな年代の参加者と一緒に作品を創るという企画。
見学した3日目は、4組に分かれての4つの作品作りが佳境に入っていて、演出家の演出にも力が入っていた。その4組の作り方の特徴がそれぞれに際立っていて、それが楽しめた。
○和田喜夫・指導、五味伸之・演出、俳優7名
五味氏の演出は説明が具体的で、実際の体験に照らした俳優の意見の吸い上げもよくやっていた。指導の和田氏は口を出さないで、メモを取ってあった。演出の五味氏が主導していた。
○流山児祥・指導、高野ヒロノリ・演出、俳優7名
大きな龍を集団で表現するシーンで、途中に流山児氏の指導が入り、その指導が的確に舞台を膨らませていた。それで方向づけがなされて舞台が立ち上がってくるような印象さえあった。
○羊屋白玉・指導、木村佳南子・演出、俳優11名
大練習室の観客席の段差を使ったダイナミックな集団演技をするという演出だった。ここでは指導の羊屋氏が前面に出ていて、具体的に細かく俳優を指導していた。
○瓜生正美・指導、鈴木新平・演出、俳優9名
俳優は演出の指示待ちで言われるがままに動くだけという感じで、かなり古臭い演出に見えた。鈴木氏がひとりで演出していて、瓜生氏はイスに腰かけて眠ってあるように見えた。
たまたまこの時間帯がそうだったということなのかもしれないが、これだけ稽古の様子が違うことがおもしろい。短時間でも4組全部見られて、比較ができて、楽しめた。
そのような稽古の差が、発表会本番の舞台にどう顕れていたか、ちょっと気にはなる。ほんと、発表会が見られずに残念だった。