元々評価の高いフランス発ミュージカルの宝塚バージョンは、宝塚オリジナルのミュージカルとはひと味違うおもしろさだった。
練り上げられた脚本を、ロック調の音楽でのダンスシーンなど多彩な演出でダイナミックに劇化していて、ギュッと凝縮された舞台だった。
ラストシーン近くでは、不覚にも泣いてしまった。
ストーリーは、ほとんどをシェイクスピアに拠ってはいるが、エピソードを若干整理して、ふたりの恋愛の運命に絞り込んでいた。
その中であえて膨らませたのがティボルトで、いとこのジュリエットを想うことでさびしい境遇を忘れようとする陰影のある人物にして、準主役の位置を与えていた。
第一幕はふたりの結婚までを、群集シーンを多用して華やかに明るく描く。対照的に、第二幕はふたりの死までを、一直線にシンプルにきびしく暗く描く。
特にその第二幕では、運命に翻弄されるふたりの話に絞り込んで、翻弄される様を、よけいなものを極力排除してじっくりと見せることでふたりの気持ちを際立たせる。
絶望と希望とがめまぐるしく変転する様をくっきりと押さえるように練り上げられているので、このふたりの思いを追体験することができる。
ロック調の音楽に合わせてすばやくフォーメーションを変えながら、舞台全体を使って状況を大きく的確に表すなど、ダンスの群集シーンは見応えがあった。
憎しみと愛、悪と善、諍いと平安。そんな対立するものを表現するふたりのダンサーは、わかりやすさを狙った演出だが、やや説明的になってしまった。
ロミオの抽希礼音は、動きがよくて実に表情豊か。ジュリエットの夢咲ねねはかわいい。もう少し初々しさが出ればなおいい。
宝塚歌劇での上演でなければそれなりの年齢の男性が演じるであろう役を、当然ながら妙齢の女性が演じることになるが、そのあたりで若干の不自然さがでるのはやむをえないかな。
この宝塚歌劇星組公演は、博多座では2日から24日まで37ステージ。若干空席があった。