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《2010.8月−8》

いい味が出てきたな、コンドルズ
【スカイ ウィズ ダイアモンド (コンドルズ)】

構成・映像・振付:近藤良平
21日(土) 13:05〜15:05 イムズホール 4000円


 3年半ぶりに観るコンドルズ公演は、野放図な明るさとパワーに満ちた多彩なパフォーマンスが楽しめた。
 メンバーもやや老けてダンスは大変そうだけど、そこは構成と出し物の持ち味で見せていて質は向上していた。

 充実していたのは、ダンスの間に差し挟まれるお芝居と人形劇がおもしろいことが大きい。満足できる構成になった。
 お芝居は、コントかと思いきや、第3場など20分以上にもなる、本音のやり取りが炸裂する本格芝居で、しんみりとさせる。
 人形劇は、小さな人形をビデオカメラで撮ってスクリーンに投影するが、その映像が味があってなかなかいい。
 そのような出し物を、コミカルなダンスやコントの間にうまく入れて、さらに映像も使って繋いだりと、2時間ノンストップで飽きさせない。

 オープニング2曲で、まず全員でのパワフルなダンスを披露。
 独特の個性のダンサーたちがまとまって個性的に踊る。音楽・照明がいいのもあって、ダンサーの個性丸出しの群舞が、全体のバランスはほんとによく取れている。
 もちろん学生服姿で、これであぁコンドルズだ、と気持ちも高まってきて、その雰囲気に溶け込む。
 以後のダンスは、体力よりもアイディアで見せるようなややラフなダンスが多いが、そのアイディアがよくて見せる。

 3場に分けて時間をおいて演じられるお芝居は、コミカルにスタートしながら本音をさらけだした深刻さに至り、それを何となくかわしてほろ苦く終わる。
 第1場で結婚、第2場がハワイへの新婚旅行。そして第3場では、帰りの飛行機が不時着。本音がぶつかりあうという軽くない芝居をじっくりと見せる。
 いちばん大きいオクダサトシと、いちばん小柄な橋爪利博とのカップルが何ともユーモラスだが、見ているとだんだんと味がでてくるのがおもしろい。

 人形劇は、小さな指人形による人形劇をビデオカメラで撮影してスクリーンに映す。
 懐中電灯での照明だが、家などの作り物がビデオ映りを実によく計算されていて、映像がいい味をだしている。
 内容は、やさしいジョゼットおじさんの裏側を描いたきびしい話で、観ていると切なくなってくる。

 前にギンギラ太陽'S公演に出演していた池田義太郎に似た出演者がいるのが気になった。
 リーフレットの出演者表を見てみたら、「ぎたろー(新人)」とあった。そうか、それでギンギラ太陽'Sの人が何人も見に来ているんだ、とわかった。
 東京に出られて数年経ったが、いいキャラ全開で元気に活躍されていてうれしかった。

 この舞台は、きのうときょうで3ステージ。満席だった。


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