みごとに何もない、甘ったれた、どうしようもなくつまらない舞台だ。
童貞のカイダ君とダンス好きのオードリーは、コンパで知り合い同棲する。
しかし、オードリーはダンス教室に通い詰める。どうやらそこのインストラクターのコトブキと関係があるらしい。
ダラダラとどうでもいいエピソードが羅列されるだけで、たいくつ極まりない。
亀頭→亀 という発想からして安直。亀頭が別人格を持って本人と絡み、包茎手術してしゃべりだすものの、それ以上のツッコミがなくて、陳腐でインパクトは弱い。
話は平板で、本気で絡まないし、展開もちんけ。よけいな説明ばかりで、ドラマを形成するようなエピソードはない。
結局、恋人入替の四角関係の話なんだけど、別に何ということもないし、だから何なのという印象しかない。
何も表現されていないとさえ見えるのは、関心の対象があまりに幼稚で、とても何かを表現しているというレベルに達していないからだ。
脚本がみごとに何もしないから、そんな結果もやむを得ない。ドラマドクターがなぜ脚本の欠点をきちんと指摘して書き直させなかったのか、理解に苦しむ。
そんな脚本を、演出はムリに膨らまそうとしているが、手の施しようがない。
ここでのドラマドクターの仕事は、演出のよけいな突出物を押さえ込むことだったようで、できあがった舞台の形の整合性は、この劇団らしくないまとまり方だった。
それでもそこが限界で、演出が換骨奪胎して再構成するならまだしも、そういう発想も力もないから、いまのレベルでは脚本の欠点のカバーのしようがない。
コンテンポラリーダンスを扱いながら、ダンスシーンの魅力のなさはどうだ。振付がワンパターンで、まったくおもしろくない。
作者はリーフレットの「ごあいさつ」で自身を「コンテンポラリーダンスの野次馬」だと言っているが、コンテンポラリーダンスを取り上げるならもっとちゃんと勉強するべきだ。
ドラマドクターがついていながら振付のつまらなさは、ほんとに何を見ていたんだ、と毒づきたくもなってくる。
この劇団、長期低落傾向に歯止めがかからない。謙虚に努力することを怠った、当然の結果だ。きちんと演劇と向かい合うべきだ。
とてもとても、東京公演をするレベルじゃない。
この舞台は、22日から25日まで6ステージ。空席が目立った。